悩みは深く

マルケスしか乗りこなせないと言われる

2019年シャシーに替えて、2018年シャシーを起用した

ホルヘ・ロレンツォですが、オーストラリアでは一転

再び、酷い問題に見舞われてしまいました。

 

このレースからホンダのRC213Vに乗ったヨハン・ザルコも

全く同じ問題点を指摘していますが、リヤのトラクションが

足りず、タイヤのグリップ不足で全く速く走れなかったようですね。

 

ホルヘいわく、着座位置と頭の位置が前過ぎたのが問題のようだ

とのことですが、この辺の問題は本来であればシーズン開始前に

抽出して、改善しておくべきポイントとも言えるでしょう。

 

次から次へと問題が続出するRC213Vとのマッチングにおいて

2018年シャシーを投入したことで、その辺がようやく明確に

なってきたとも言えるのかも知れません。

 

恐らくですけど、ホンダはバレンシアテストでは

2019年型の進化型のシャシー

2018年型の進化型のシャシー、両方準備テストをさせて

マルク、ホルヘ、カルの3人の好きな方を選ばせる手法を

取らせるんじゃないかな?(過去にもやっている)

 

ホンダとしてはマルクしか勝てないマシンしか

作れないメーカーと言われるのは不名誉なことでしょうから。

 

しかし、ホルヘの悩みは深い。

明日はその辺をもう一丁掘り下げて書いてみたいと思う。

続 WSBストーブリーグ

例年になく異動の多かったWSBのストーブリーグ

ファクトリー勢がほぼ埋まったので、続いてサテライト勢が

続々と埋まりつつありますね。

 

メランドリィの引退と、コルテセとの契約更新をしなかった

ヤマハセミファクトリーチームであるGRTヤマハ

WSSランキング2位のカリカスロと、AMAでランキング3位の

ギャレット・ゲロフを起用。

 

アルバイット・ドゥカティのJrチームでSTK1000タイトルを

獲得、ドゥカティの秘蔵っ子として走っていたバーニ・レーシングの

マイケル・ルーベン・リナルディは成績が奮わず解雇

ホンダを解雇されたレオン・キャミアが来季はV4Rを走らせます。

 

トプラックを失ったカワサキ・プセッティは今季BSBでホンダで

走ったベテランスパニッシュ ジャビア・フォレスを起用。

 

そのホンダはバウティスタ以外のラインナップが未発表となってますが、

どうやらカワサキを解雇されたレオン・ハスラムの獲得に動いている模様。

これはWSBというより、鈴鹿8耐を睨んでの起用のようで、

ホンダとしてはとにかく、ライダーの駒として彼を確保したいようです。

ただ、ハスラムはバウティスタのチームメイトとしてホンダファクトリー入りを

するのではなく、全日本を戦う高橋巧選手と天秤にかけられているようです。

つまり、巧選手が全日本のタイトルを獲得すれば、匠選手がファクトリー入り。

その場合、ハスラムはホンダのバックアップを受けるモリワキ・ホンダから

サテライト参戦。

逆に巧選手がタイトルを逃せば、ハスラムがファクトリー入り、巧選手が

モリワキへというプランがあるようです。

いずれにせよ今週末の全日本の結果次第ですね。

 

こうなってくると残っているのはゴーイレブン・ドゥカティ位ですかね。

ここはサンドロ・コルテセの名前が挙がっています。

 

コンペティションレベル

MOTO3はオーストラリアGPでロレンツォ・ダラ・ポルタが

優勝で自身初の世界王者を確定しました。

 

しかし、昨年の上位ランカー、マーティン、ベッセッキ、ディ・ジャナントニオの

3人が抜けた今季のMOTO3は大混戦。

毎戦、ウイナーが違うだけではなく、コンスタントに上位に

入賞するライダーがほとんど存在しない本命不在のシーズンとなりました。

クラス全体のコンペティションレベルは決して高くは無かったか。

 

そんな中、安定感を見せていたのが今季からマックス・レーシングに

移籍したアーロン・カネットでしたね。

彼はノーポイントレースを作らず着実にポイントを重ねてきましたが

不運な巻き込まれアクシデントに2度あって、ポイントを失ったことが

大きかったか。

日本GPに来た時点で、非常にナーバスになっていて、彼の悪い面

というか、集中力を欠いていた状態で、結果的に転倒ノーポイント。

そして、今日のオーストラリアでも転倒ノーポイントと

完全にキレてしまった感じでしたね。

 

ロレンツォ・ダラ・ポルタに関しては体が小さく非常に

軽量クラスには有利な体格で、しかもレオパード・レーシングという

名門で走れていることが非常に大きかったと思います。

果たして彼が歴代MOTO3王者のように活躍できるかどうかは

来季にならないとわかりません。

ダニー・ケントのようなケースもありますし。

 

今シーズンは全般的に言ってコンペティションレベルは高くなく

それだけに日本勢にも非常に活躍のチャンスのあったシーズンだった

と思いますが、その中で今年のレベルの成績だと来年以降

また、抜きん出た存在のライダーが出てくると厳しくなりそうな予感がします。

もちろん、名門のアジョやテック3で走る鳥羽や佐々木には期待していますが・・・。

 

ダブルスタンダード

度々、MOTO3クラスだけではなく

MOTOGP全体に対しても苦言を呈することのある

パオロ・シモンチェリが今日のオーストラリアGPの予選に

対して物申しています。

 

今日の予選は終日、強い風と降ったり止んだりの非常に

微妙なコンディション行われ、先に行われたMOTO3、2クラスでも

転倒者が多く出ました。

しかし、予選はそのまま行われ、MOTOGPクラスのFP4で

オリベイラが風に押されて、コースの外にはみ出て転倒したことで

ようやく続行に審議がかかり結果的に中止になりました。

 

パオロに言わせれば、MOTOGPの時もMOTO2、3の時も状況は

変わっておらず、にも関わらず、MOTOGPだけ危険で中止とは

どういう判断基準だ?ということのよう。

確かに風の影響という側面を考えても、むしろ影響は車体の軽い

MOTO3の方が大きく、実際SIC58のアントネッリは転倒を喫しています。

 

パオロに言わせれば今回の判断はMOTOGPだから中止で

それ以外のクラスは少々危険でもやらせておけという

DORNAサイドのダブルスタンダードと映ったようです。

真偽のほどはともかく、確かにDORNAの判断はクビを傾げることも

多々あるだけに、こういうパオロの貴重な意見が今後

反映されていくことを望みたいところです。

ハードもソフトも揃えて

鈴鹿サーキットで新型CBRとおもしき車両が

目撃されましたが、噂通り、サイドカウルが二重構造に

なっていて、その間にウイングらしきものが確認され

センターダクトと、かなりの本気仕様であることが伺えます。

 

HRCワークスとなって2年、鈴鹿8耐では2年連続で

苦杯を舐めているわけですから、必勝を期してのリーサルウェポン投入

というところでしょう。

 

と同時に、まさに今年の8耐がそうでしたが、いくら優秀な

マシンを作り上げても、それを走らせる実力のあるライダーの

駒がある程度揃っていないと勝てないのが耐久レース。

 

噂では、ホンダは過去に8耐3勝の実績を持つ

レオン・ハスラムをそのために獲得する方向のようですね。

 

ただKRTをクビになったハスラムですから、HRCとしても

ワークスには受け入れることは出来ないので(そこまで評価は高くない)

モリワキを援助して、モリワキ・ホンダのサテライトで

走らせるように画策しているようです。

 

とにかく、ソフトもハードも足りない状態で戦っていた

ホンダが2年の屈辱を経て、ようやく本気になったというのは

他メーカーからすれば倒しがいがあるし、ライダーの

モチベーションも上がるというもの。

来季の鈴鹿8耐は更に熱くなりそうです。

小さく回れ

スズキブースでの青木さんによるMOTOGP解説。

それによると、今は対マルケスという意味でも

とにかく小さくコーナーを回って、かつ早く向き変えをして

アクセルを開けるポイントを早くする。

そのために、いかにリヤタイヤを意のままにスライドさせて

小さい半径で曲がれるマシンにするか。

そのためのエンジンの出力の出方に気を使っているそうです。

つまり、ライダーが思ったようにスライド量を出し入れできる

エンジン特性ですね。

1開ければパワーも1、10開ければ、パワーも10。

スロットルリニアリティの話。

これに元々の車体特性も相まって、今年のスズキは非常にタイトに

コーナーを曲がれるし、ブレーキングからでも平然と曲がれる

素晴らしいマシンに仕上がっているようですね。

 

面白いのはルーキーのホアン・ミルで彼の好みは

どちらかというと、電子制御を減らす方向だそうです。

つまり、彼的には電子制御を介入させることなく

スライド量を全て自分でコントロールしたいタイプの

ようですね。

これがピタッとハマるようであれば、ミルの飛躍もありそうです。

 

新生MOTO2

今シーズンからトライアンフ製765cc3気筒エンジンを

搭載するMOTO2マシン。

同時に去年までのホンダのレース用ECUから

MOTOGP同様マニエッティ・マレリの独自ソフトのECU

なりました。

 

それによってどのように今年のMOTO2マシンが変わったのか

ここでは触れてみたいと思います。

快く質問に答えてくださった宇井選手、長島選手ありがとうございました。

 

まず、基本的な所としてこのマニエッティECUではトラコンや

アンチウィリー、エンジンブレーキコントロールといった機能は

ついていません。スタート時のローンチコントロール

エンジンブリッパー、そしてエンジンマッピングが変更できます。

特に今年のキモになっているのは、このエンジンマッピング

20種類近い中からセレクトして登録しているとのこと。

今年の765cc3気筒エンジンは加速が鋭く、フラットにトルクが出るので

いかに効率よく加速させるかは、このマッピング次第のようですね。

 

実際、スタート時のローンチコントロールもアンチウイリーや

トラコンがついてないわけですから、このマッピングによって

効率の良い加速を実現していて、100km/hまでは出力を抑えるような

マップを使っているそうです。で、そっからシフトアップすると

フルパワーに解放されると。

同様に減速時のエンジンブレーキも電子制御が無いわけですから

マッピングでこの効きを変えているとのこと。

それ以外はアナログのスリッパークラッチの効きだけ。

今年からリヤタイヤの径が大きくなって、トルクが増して

非常にプッシュアンダーが出やすくなっているそうなんで

素早い向き変えが必要、それにはリヤのスライドコントロール

必須ということみたいですね。

ちなみにスタート以外は一切クラッチは使わないそうです。

 

そういやレミーは90度の進入で毎回アフターファイアー出してました

から、彼のエンジンブレーキの好みのマッピングが伺い知れるところです。

 

色々聞いて思ったのは、思った以上にハイテク化されているけど

思った以上にはハイテクされていない、アナログな部分も

かなり残されているなという印象です。

結局その部分がライダーの力量勝負というところなんでしょう。

アレックス・マルケスはその辺が非常に器用だ。

とは長島選手の弁でした。