嵐の前の静けさ

今日になってKTMが突然、イケル・レコーナを

来季、レッドブルKTMMOTOGPのシートに

座ることを発表しました。

元々はレミー・ガードナーにオファーをしたけど

断られてしまって、困った挙句、MOTO2のレッドブル・アジョの

シート決まっていたレコーナを昇格させた形です。

これで2020年のMOTOGPクラスの全シートが確定しました。

 

やはりというか、大変動が予想される2021年を控えて、

今年は小変動レベルで終わった感が強いですね。

 

何しろ、来季は大半のライダーが契約最終年となります。

大きな移動は避けられない状況で、早くもドゥカティ

先制パンチを打ってきていてビニャーレス獲得を匂わせています。

またヤマハジーレンベルグに言わせるとファビオ・クワッタハッホにも

オファーをしているそうな。

まあ、こっちはブラフとしても、今のドヴィ、ペトルッチコンビは

よほどの結果を残さないと2人揃ってクビになりかねない状況ですかね。

 

ビニャーレスとしてもワークスチームのエース格は自分って

自負があるでしょうから、結果と待遇でヤマハに答えて欲しいところ。

ヤマハがロッシ偏重体制を続けるようだとロレンツォみたいに離脱も

有り得るでしょう。

ファビオはペトロナスに在籍しながら実質ワークス体制に格上げでしょうね。

となるとモルビデリは格下げか。

4人のライダーを全員フルワークスサポートするほどヤマハには

お金があるわけじゃないので。

ロッシはもう彼が決める事。他人がとやかく言えるものじゃない。

 

ホンダも悩みどころで、ホルヘとカルの引退or離脱は確定的で

その場合は浪人のザルコ、あるいはアレックス・マルケスあたりが

可能性は高いか。ブラドルの昇格は無いことも無いでしょうけど

確率は低いでしょうね。

マルク偏重体制で誰も乗りたがらないことを考えると

アレックスはマジで有り得る。

ただし、いきなりワークスじゃなくてサテライトのLCRだろうな。

となるとレプソルはザルコさん?

 

ドゥカティは例によって手札が多くて、ビニャーレスの引き抜きに

失敗しても、ホルヘがホンダを離脱すれば獲得できるし、

あるいミラー、ペッコの昇格もあり、ドヴィの残留もあり、

とにかくワークスの2つは何とでもなる。

プラマックをどうするかですね。

ワークスをあぶれた2人を乗せるか。

また下から若手を引っ張り上げるのか。

 

スズキは安泰。ブリヴィオ監督いわく2021年以降も

今の2人で行きたいそうです。

 

KTMオリベイラがワークス入りするとして、

テック3をどうするか?

ホルヘ・マーティンを引っ張り上げるかどうか。

いずれにしろ、レコーナは一年こっきりでしょう。

 

アプリリアはとにかく体制が一新されてからの

ニューマシン次第で2人のライダーのモチベーションが

決まるでしょう。

 

何となく、ビニャーレスがカタールあたりで

残留か離脱を発表しそう。

彼的にはファビオやロッシに振り回されたくないでしょう。

 

テストライダー

どうやらザルコはヤマハからテストライダーのオファーが

来ていて、もてぎで契約する運びだったんだけど

それを断って、LCRホンダに乗る決意をしたようですね。

 

つまり、彼にとってはヤマハのテストライダーになったとして

その先のレギュラー昇格が不確かな状況であるよりも

浪人してでもあくまでもレギュラーライダーを目指したい

ということのようです。

 

確かに今年、KTMからアプリリアに移籍したブラッドリー・スミス

移籍の原因はKTMが4台体制になったために、ワイルドカード出場の

機会が無くなったことだと述べています。

 

結局、腕に覚えがあって、まだ若いライダーであればテストライダーという選択肢はやはり選びにくいってことなんでしょう。

ギュントーリくらいのベテランならともかく、ブラドルあたりも

レギュラー昇格は狙っているでしょうしね。

 

結果的にヤマハはジョナス・フォルガーを継続起用することを

決め、ザルコは今のところ来季は浪人という形になります。

 

もっとも、例年早い段階で翌年の体制が決まるMOTOGPだけに

2020年の早い段階で2021年以降の体制が決まるでしょうから

そこまで浪人生活は長くないのかも。

特にホンダ陣営はクラッチロウとロレンツォの動向が不明確な

だけに、ワークスマシンのシートが一挙に2つ空く可能性が

ありますからね。

秘蔵っ子といえども

例年になくシートの移動の多いシーズンとなっている

WSBですが、どうやらドゥカティの秘蔵っ子

マイケル・ルーベン・リナルディも今シーズン限りで

シートを失う模様です。

 

バーニ・レーシングは足回りがショーワであることを除けば

ほぼファクトリーと同じマシンが供給されるドゥカティ

トッププライベーターですが、それ故に成績もかなり高いものが

要求され、それに見合わない時点で解雇となってしまったようです。

まあ、リナルディからすれば、使ったことのないショーワのサスで

戦うのは、かなり厳しい面があったことは間違いないとは思いますが・・・。

 

ドゥカティとしてはアルバイット・ドゥカティのJrチームで

スーパーストックのタイトルを取らせた位の秘蔵っ子でも

見放すあたりが厳しいというか、ある意味当然と言いますか・・・。

 

そして、その席に座るのがどうやらホンダを放出されたレオン・キャミア

らしいというのが興味深いですね。

キャミアはかつてアプリリアでもV4マシンを経験してますから

新たなV4マシンでどんな走りを見せてくれるのか。

意外と相性いいかも知れません。

 

キャミアはこれで、ホンダ、ドゥカティヤマハアプリリア、スズキ、BMW

MVアグスタ、ホンダ、ドゥカティと来ましたから、後はカワサキ

コンプリート完了だな。(違うって)

クランクの重さ

今シーズンのRC213Vに苦戦するクラッチロウとロレンツォですが

2人のコメントを聞いていると、問題は

フレームのフロント周りだけでは無いようです。

2人が口を揃えているのは、スロットルを戻した時に

エンジンブレーキのかかり方、エンジンの回転の落ち方が

不十分で、要はコーナーの進入でスロットルを戻しても

エンジンが走り続けてしまうので、結果的に止まりきれなくって

ますますフロントのブレーキに頼らないとならない状況に

なっているとのこと。

 

今シーズン、ドゥカティに負けないピークパーワー、加速力を

実現するためにホンダはクランクシャフトの重さを軽くしている

可能性ありますね。

軽くすれば当然、ヒュンヒュンと軽く回るピックアップの

鋭いエンジンにはなりますが、反面、スロットルレスポンスに

欠けるというか、スロットルを戻した時のエンジン回転数の落ち方に

リニアリティに欠けるという問題点が出てきてしまう。

 

ライダーはスロットルリニアリティ、開けたり、閉めたりした時の

レスポンス、リニアリティに非常に敏感ですから、思ったように

回転数が上下してくれないと非常に乗りにくいエンジン特性に

なってしまいます。

 

どうやら、2人が言っているのはそういうことのようです。

 

この辺り、ホンダだけではなく、ヤマハもスズキもですが

MOTOGPはシーズン中のエンジンの仕様変更が出来ないので

シーズン開始前のエンジン仕様の決定には細心の注意が必要ですが

このクランクシャフトの重さも非常に重要なキーポイントですね。

 

ホンダはシャシーもですが、来季に向けてピークパワーは落とさず

この辺のピックアップ、リニアリティを改善してくるんじゃないかな??

ますます裏方さんの仕事が重要に

DORNAから2020年及び2021年のテスト日程が

発表されました。

 

2020年に関してはこれまでとほぼ変わらず

シーズン最終戦の翌々日から始まるバレンシアテスト。

 

ちょっと間を空けてヘレステスト。

 

そして年明けの恒例のセパンテスト。

 

シーズン中はヘレス、カタルニア、ミザーノでレース後テストが

開催されます。

 

ところが2021年は大幅減となっており、

まず、シーズン終了後のヘレスの一回のみに削減。

 

それから年明けのセパンはいつも通りですが、

シーズン中のテストはゼロ、無くなりました。

これは2021年から年間21戦を予定しているからでしょうね。

 

これはつまり、シーズン中のレギュラーライダーによる

テストに大きく制限がかかり、そして恐らくは裏方である

各メーカーのテストチームの役割がこれまで以上に

非常に重要になってくることを示していると。

 

もう、テストチームがずっと開発して、レギュラーライダーは

それを試す機会なく、与えられた道具で走るだけって感じですね。

 

ストライダーがシェフ、レギュラーが食べる人って感じです。

 

ヤマハが来季からテストチームを充実させるのはその辺を

見込んでのことなのかも知れません。

疑心暗鬼

WSSはアルゼンチンを終えて、ランキングトップの

ランディ・クルメナッハーとランキング2位の

フェデリコ・カリカスロの差は8と縮まって最終戦

タイトル争いの行方は持ち込まれました。

 

このレースを終えた後、クルメナッハーはあからさまに

チーム批判を展開しています。

いわく

「チームはカリカスロにタイトルを取って欲しがっている」

「チームには2つのエンジンが用意されていたが、

私のエンジンの方が明らかに回らなかった」

とのことです。

 

現在はロガーデータがあるため、少なからず彼の言っている事の

真偽の検証は出来るでしょうが、問題はまだタイトルが決定していない

今の時点で、彼がこういう発言をすることは少なくとも彼にとっては

有利に働くことはないだろうと思うこと。

にも関わらず、こういう発言をするところに彼の精神的な問題がある

というか、何と言いますか。

実際、ランク2位のカリカスロが既に来期のスーパーバイクへの

ステップアップを確定しているのに対して、

クルメナッハーは未だに来期のシートが確定していない状況です。

 

速さ、ライダーとしてのスキルは疑うまでもないけど

それ以外の要素に問題があるということを、今回の発言は

図らずも証明してしまった形になってしまっているような・・・。

 

こういう悪い流れはタイトル争いにも大きく影響することも

あるだけに、最終戦カタールは思いもよらない結末を

迎えることも十分ありえる。

サーキットのグレード

WSBアルゼンチンラウンド6人のライダーが

出走をボイコット、わずか12台のマシンにより第1レースが

行われました。

 

このアルゼンチンの舞台、サンホアンサーキットは初日から

とにかくグリップが低く、とてもスーパーバイク

レースをするレベルじゃないと一部で言われてましたが

結果的に、一部ライダーは最後まで走らなかったようですね。

メランドリィによれば、アスファルトから油が染み出していたそうで

FPではロリス・バズが派手に転倒を喫して、脳震盪を起こして

第1レースを欠場しています。

 

スーパーバイク世界選手権が行われるコースは

いわゆるFIMが定めるところの、グレード2規定に値するコースで

行われており、MOTOGPのグレード1よりはワンランク落ちます。

そのため、今年からWSBに参戦しているバウティスタなんかは

一部コースのエスケープゾーンの狭さに苦情を申し立てていますね。

つまり、安全基準が若干低いということの模様。

それにしても・・・・というところでしょう。

何かがあってからでは遅いですからね。

 

ちなみに出走しなかったライダーはGRTヤマハメランドリィとコルテセ

モリワキ・アルティアの清成とキャミア、後はラバティとデイビスの6名です。

 

既にタイトルが決まってますからいいですけど、こういうボイコットなんかで

タイトル争いのポイントに大きく影響があれば、ポイント争いの

興が削がれますし、そもそもライダーから抗議の声が上がること自体が異常。

アルゼンチンには是非、改善を求めたいところですね。

と同時に開催にGOを出したDORNAにも猛省を促したい。

ラバティに言わせるとDORNAから走るようにプレッシャーが

あったんだとか。

本来ライダーの安全性に万全を期すべきDORNAが危険と

ライダーが思うサーキットで走る事を強要するとは言語道断。

来年の開催までに改良を施して欲しいですね。