二度あることは三度ある?あるいは三度目の正直

今年からヤマハのテストライダーに就任した

カル・クラッチロウがヤマハMOTOGPに乗るのは

3月5日から始まるカタールテストのウォーミングアップデイに

なるとのこと。

 

これは後日始まるレギュラーライダーのためにマシンをウォームアップしたり

各部の動作チェックをする日で合計3日が組まれていて、

ルーキーライダーはこの3日間も走ることが出来るようになっています。

 

ヤマハクラッチロウがようやく2021年型マシンにご対面するのが

これが初めてなのに対して、ホンダは既にテストライダーのステファン・ブラドルが

既にヘレスで2021年型マシンで合計10日間のテスト走行を行っています。

 

これは結局、メーカーがテストライダー専用にマシンを1台、レース車両とは

別で仕立て上げてヨーロッパに送っているかどうかという体制の違いから来るもの。

 

過去2年、ヤマハはジョナス・フォルガー、ホルヘ・ロレンツォをテストライダーとして

契約しながらも、彼ら専用のテストマシンを用意しなかったことで、全然有効に

使いこなせなかった過去があるだけに、そこを今年は見直してくるのか、それとも

相変わらずなのか注力していましたけど、ここまでの状況を見ていると改善された様子は

見て取れないですね。

 

記憶している範囲内だと、ジョナス・フォルガーがGPマシンに乗ったのは

わずか一日、スペインGPの事後テストで、彼が走らせたマシンはすぐに日本に

引き上げられているはず。

ホルヘはセパンテストの初日と、初開催のアルガルベテストの計2日でマシンは

いずれも型落ちのM1だったはず。

これでは有効なテストが出来る環境とは言い難いところ。

 

そして今年もどうやら彼ら海外テストライダー用にマシンを新規で

1台用意することは無いようで、この辺はホンダとの予算規模の違いですねかね。

MOTOGPマシンは安くは無いわけで、国内テスト用に1台とそれ以外に

海外テスト用にもう1台はかなりの金銭的負担があるんでしょう。

 

とはいえ、テストライダーとして契約しているわけですから

これを最大限有効に使えって結果に結び付けられるような体制を

構築した方がいいんじゃないかなと・・・・。

 

カルさん、今年、どのくらい走れるんだろうか??

 

 

私的GPライダー 考察学 その3

とうとうスミスに愛想を尽かされて出て行かれた

アプリリアはアレイシ・エスパルガロとロレンツォ・サバドーリという

コンビで走ります。

 

エース格のアレイシは言うまでもなくブレーキングが

うまいライダーで、ここで一気に距離を詰めてくる。

最近はそれだけじゃなくって、非力なマシンのハンデを

詰めようとコーナーもかなり頑張って走っている。

ブレーキングで突っ込むだけではなく、コーナー速度も

殺さないように両立を頑張っている感じ?

ただ、いかんせんシャシーが答えてくれてないって感じですねー。

旧モデルより明らかに素性は良くなった新マシンだったものの

アプリリアの体制だとシーズン通してマシンの熟成が進まなかった模様。

どうもシャシーの剛性バランスがおかしい感じですね。

だから速度を保ってコーナーリングしようとするとシャシーがワナワナと

するというか、堪えきれない挙動が見えるようで・・・。

エンジンは非力、シャシーもおかしいとなるとライダーは苦労する。

意外だったのはアルガルベで速かったんですよね。

あんだけの高速コーナーのあるコースで速い。何故だ?

 

サバドーリは非常に長身のライダーで器用だなという印象。

WSB時代にはチームメイトのラバティを上回る一発の速さを

見せるなど、速さはあるし、体が大きいだけに器用にマシンの上で

動いて上手く乗っている印象。

ただいかんせん経験の浅さか、タイヤの使い方が上手くないのか

レースだとからっきしなんですよね。

イタリア選手権でタイトル取るくらいだから悪いライダーでは

無いけど、まだまだ経験を積んでレースの走り方を覚えたら

ひょっとしたら化けるかも?

しかし、アプリリアのセカンドライダーはこれまでもマシンが1年間

全くアップデイト全くなしとか平気であるから、どんなに頑張っても

成績に反映されない可能性は高い。

私的GPライダー 考察学 その2

今シーズンのドゥカティで最大の注目株はヨハン・ザルコと

見ています。

というのも、ドゥカティのマシン開発はストレートスピードと

ブレーキングスタビリティという元々の強みをより強くする方向の

マシン作りで、それはドヴィのライディングスタイルともマッチしていた。

 

しかし、ロレンツォ加入以降のドゥカティ、ジジ・ダリーニャさんは

その方針を転換しつつあって、それがロレンツォ離脱後のザルコ獲得に

繋がった。

つまり、ジジさん的にはドゥカティの苦手とするゾーンである旋回力の

改善のために、ザルコが欲しかったということだと思う。

ザルコの乗り方はロレンツォ同様、ヤマハのM1流が非常に濃く

フロントタイヤの旋回性に頼って、コーナーリングスピードを高いまま

コーナーに飛び込んでいくスタイル。

これは直4マシンが得意とするハンドリング特性で、ドゥカティ

ホンダのようなV4マシンは得意なエリアではない。

V4マシンはむしろ、フロントタイヤで旋回する時間を短く

言ってみればV字型に素早く向きを変えて脱出する乗り方の方が合っている。

実際、ザルコの転倒回数がMOTOGPで一番多いというのはその

フロントタイヤを攻め立てる乗り方とマシンのミスマッチングから

来る部分もあったと思われる。

が、それだけにジジさんはまだデスモセディッチに改良の余地を感じているように思いますね。そしてその開発にザルコは欠かせない。

 

そしてザルコの乗り方は多くのMOTO2ライダーのスタイルにはマッチするんじゃないかな。

今年彼のチームメイトになるホルヘ・マルティンもかなりフロントに頼った

ライディングスタイルでバンク角も深い。

エスポンスラーマに加入したエネアとマリーニもザルコのデータを参考にすると

語っている。

 

ザルコの場合、体重が軽く小さく、オフセット量が少ないだけにフロントタイヤの

荷重コントロールが上手いうえに、フロントタイヤの磨耗が少ない。

だからこそ、ああいう乗り方が出来るんでしょうけど、今年は最新マシンを

手に入れて、彼の好みのマシンに近づくことが出来れば、念願の優勝もあり得ると思います。

そして、ザルコが乗りやすいマシンは他のドゥカティにも強力な武器になるんじゃないかな?

 

私的GPライダー 考察学 その1

さて、ということで、今シーズンMOTOGPに参戦する

ライダー達をライディングスタイルと合わせ込んで考察していきたいと

思います。まずは前半戦。

 

ドゥカティ・コルセ 

ジャック・ミラー

 

遂にドゥカティのエースの座を手に入れてオージー

ジャック・ミラー。

15歳頃まではモトクロスをやっていてロードの経歴が

全然短いのにMOTOGPのキャリアは長いという異色のライダー

ある意味、天才肌なんでしょうね。

以前は速いけど、荒っぽくて転倒の多いライダーという印象だったけど

本人が言っているように、結果が出るようになってから落ち着いて

レースを運べるようになったとのこと。

以前の彼は結果を求めるあまりに焦ってタイヤを早い段階で使い切っていたけど

今はレースディスタンスを考えてタイヤを温存して走れるようになった。

 

ライディングスタイルは非常にオフセット量が多くバンク角も深く

アグレッシブなスタイルだけど、彼の場合、リヤのスライドコントロール

非常に上手い。

リヤを綺麗に流しつつフロントにカウンターを当ててマシンの向きを

コントロール出来るライダー。

悪コンディションで速いのはスライドコントロールの上手さ+モトクロス

仕込みのテクニックの賜物か。

旋回性がイマイチで、曲がりにくかった去年のマシンでも巧みにスライドで

向き変えをしてのけていた。

ドゥカティが今後どういう方向にマシンを開発してくるかわからないけど、

彼向けにマシンを合わせ込めれば、より結果は残せると思う。

 

ドゥカティ・コルセ

フランチェスコ・バグナイア

 

2018年のMOTO2クラスの世界王者。

今年でMOTOGP3年目だけど、まだまだいい時と悪い時の落差が

大きいように見えますね。

元々、非常にブレーキングドリフトが上手くって、

落ち着いて乗るタイプのライダーだけど、

それだけフロントで頼って走るタイプだけに

今のミシュランドゥカティのハンドリングに苦戦している模様。

まあ、彼のコメントを聞く限り、リヤグリップが高すぎて

フロントをプッシュしてしまうから、フロントから

コケてしまうみたい。

だからミシュランの前後のグリップバランスとマシンのハンドリングの

バランスが彼好みにピタっとハマると速いけど、

多くのサーキットではハマらないから打率が低い感じ。

その辺りを今年のマシンでどこのサーキットでも通用するベースセットを

見つけられれば一気にジャンプアップできる可能性は十分あるか。

まあ、MOTOGPマシンはスイングアームピボットとか

ステアリングヘッドとか調整できる箇所がメチャメチャあるだけに

迷いだすと袋小路にハマる危険性もあるんだけど・・・。

非常に読みにくいライダー。

 

マルケス以降世代

2018年にペドロサ、2019年にロレンツォ、2020年にドヴィジオーゾと

10年以上のキャリアをもつベテランライダーが一線を退いて

新たにエネア、マリーニ、マルティンが加入して

ますます世代交代の進むMOTOGPクラスですが

ここでは2021年のMOTOGPライダーの年齢層を可視化していきたいと思います。

 

かつて、最年少記録を次々と更新してみせたマルク・マルケス

既に最高峰クラス9年目で、すっかり若手から中堅、追う側から

追われる側になって久しいですよね。

 

去年、世界王者に輝いたホアン・ミールは初めてのマルクより若い世代の

王者ということになり、ホントにこれまでのWGPMOTOGPの歴史が

そうであったように、かつてのチャレンジャーが追われる側になり、

追っていた側がまた、追われる側になるという繰り返しの歴史ですね。

 

また、メーカーとライダーの契約状況を見ても、もはやマルクと決着付けの

済んでいる世代よりも、まだマルクと当たったことのない若い世代の

可能性に賭けている部分も見える感じがしますね。

ドゥカティがドヴィとの契約更新をしなかったあたりは、その辺も

含んでいるんじゃないでしょうか?

 

1979年生まれ ヴァレンティーノ・ロッシ

 

1989年生まれ アレイシ・エスパルガロ

1990年生まれ ヨハン・ザルコ、ダニーロペトルッチ

1991年生まれ ポル・エスパルガロ

1992年生まれ 中上 貴晶

1993年生まれ ロレンツォ・サバドーリ、マルク・マルケス

1994年生まれ フランコ・モルビデリ

1995年生まれ マーヴェリック・ビニャーレス、ブラッド・ビンダー、

       アレックス・リンス、ジャック・ミラー、ミゲール・オリベイラ

1996年生まれ アレックス・マルケス

1997年生まれ ルカ・マリーニ、エネア・バスチアニーニ、ホアン・ミール

       フランチェスコ・バグナイア

1998年生まれ ホルヘ・マルティン

1999年生まれ ファビオ・クオルタラーロ

2000年生まれ イケル・レコーナ

 

こうやってみても、マルクより若い世代が増えましたね~~~。

WSBもまとめるつもりですけど、あっちは逆にベテランが多いです。

2021年のMOTOGPの戦い方

今シーズンもコロナの影響下でシーズンを戦わないとならない

状況になりそうなMOTOGPですが、そうなってくるとこれまでのような

開発体制は難しくなりそうです。

 

だからでしょうか、ホンダは国内での開発ライダーとして

長島哲太選手とテスト契約を結んだそうですね。

 

つまり、これまでのように国内で開発選定したものを

海外に送付し、海外の拠点、ライダーがサーキットで最終テスト

そして本番に投入というやり方が難しくなりそうであると。

だから、国内でしっかり開発をして、それを直接本番に投入、

海外のテストというワンクッションを入れるやり方はウェイトが

低くなりそうですね。

 

この辺は日本という地理的要素のあるメーカーに限った条件で

欧州に拠点を置くメーカーには関係のない問題だと思いますが。

 

MOTOGPはとにかくシーズン中も日本、欧州でどんどんテストをして

マシンがアップデイトされながら戦っていくカテゴリーでしたが

そのアップデイトの速度はやや遅くなるかも知れませんね。

そうなってくると、最初にシェイクダウンするマシンの素性が

凄く重要になってくるとも言えるかも知れません。

以前のようにシーズン中に開発を進めて巻き返すというのは

難しくなってきそうです。

いずれにせよ、国内テストのウェイトが大きくなっていくのは

間違いないところ。

 

そう考えると、野左根君がWSB参戦を決めたとはいえ、中須賀選手という

絶対的な存在の居るヤマハ、開発も長い津田君が居るスズキに比べると

ホンダは国内テストライダーが手薄な状態です。

ホンダは水野涼選手がBSBに参戦するということでイギリスに行ってしまうので

去年までのようにじっくり国内で腰を据えて開発することは出来ませんから

その後釜を務める開発ライダーの捜索は急務で、長島選手はまさにうってつけ

だったんでしょうね。

 

加えてホンダ的にはMOTOGPに次いで重要な位置づけである鈴鹿8耐向けの

耐久レーサーの熟成も重要な仕事で、こちらも長島選手は任されそうです。

過去に伊藤真一さんなんかもテストライダーという経験を経ることで

ライダーとして一回り成長したように、長島選手にとっても貴重な経験に

なると思います。

答え合わせは突然に

マレーシアのロックダウンによって

2月中旬に予定されていたセパンサーキットでのテストが中止となり

代替えとして噂されていたスペイン、ヘレスでのテストも無くなり、

今シーズンのMOTOGPは開幕戦の舞台であるカタールでの

直前テストのみがオフテストとなることになりました。

 

これはある程度、予想されていたこととはいえ、メーカーサイドから

すれば、やや計算が狂ったというところでしょうか?

 

というのも例年であれば、セパンテストに仕様を微妙に変えた

2種類のマシンを持ち込んで、本番ライダーにテストさせ

そのシーズンに使う車両の最終仕様を選ばせて、そこからはその車両で

ひたすら走り込みをして、ベースセッティング出しをして

開幕戦に備えるというのがパターンだったからです。

これは逆に言うと、セパンテストの結果が良くなくても、カタールまでに

立て直す時間的マージンが若干、残されていることを意味していて

今年のようにカタールテスト終了後、マシンも関係者もそのままカタール

残留して、開幕戦を迎えるというのはかつて無かったケースとなります。

 

つまり、テストに向けて日本をあるいはヨーロッパを出た時点で

それはもう手を加えることは出来ず、そのままオフの開発の答え合わせが

まんま開幕戦に表れるということを意味しています。

 

もちろん、例年と異なり、2020年から2021年にかけてはエンジンとエアロ関連の

開発は凍結され、シャシーの開発のみが許されている分野ですが、

それでも去年大きく影響してミシュランのリヤタイヤに対してのシャシーの改良は

避けて通れない課題ですから、それぞれのメーカーがどんな物を出してくるのか。

 

テストの結果が開幕戦、ひいてはシーズンの流れを決する形になりそうですね。

 

ちなみに去年のセパンテストではマルクは一度もトップタイムをマークできず

最終的に5番手で転倒を喫し、中上君の旧型マシンを引っ張り出したんですよね。

今に思えば不吉なシーズンの幕開けに相応しい流れでした。

って多分、当時Twitterに書いたはず。