それぞれのドニントン

WSBは前回のミザーノから一か月のインターバルをおいて

ドニントンパークで第5戦を迎えます。

 

このドニントンと次のモストはシーズンを占う意味でも

非常に重要なレースになりそうですね。

 

カワサキジョナサン・レイは去年、このドニントンのレース2で

フロントからスリップダウンを喫し、リタイアとなっています。

去年のZX-10Rはフロントタイヤの旋回性に問題を抱えており、

ヤマハのトプラックと同じペースで走るとフロントの挙動が不安定に

なる傾向があって、去年の転倒はまさにそれだったか。

結局、この一件以降、カワサキ+レイ陣営はヤマハ+トプラックに対抗するために

フロントに、ピレリのデベロップメントタイヤというハイグリップな

タイヤを使うという、カワサキ陣営いう所の「試したことの無いチョイス」を

選ばざるをえなくなり、これが更なる転倒を誘発することになりました。

次のモストではレース中盤にして完全にフロントが終わってしまって

あっさりと転倒する羽目になりました。

 

去年の反省から今年はショーワが新しいフロントフォークを投入、今年の

ZX-10Rは非常によく旋回するマシンになって去年のネガを払しょくできているように

見えますから、あれから一年ぶりのドニントンでヤマハ+トプラックにどういう

戦いぶりを見せてくれるのか、ここで互角以上の走りを見せるなら、今期は

ずっと高値安定で行けると思います。去年のようなことは起きない。

今回、ピレリはフロントに通常のタイヤ以外にデベロップメントタイヤを

持ち込むそうですから、彼らがどのタイヤを選ぶかも興味深い所です。

 

一方、ディフェンディングチャンピオンでありながら、今期わずかSPレースの

一勝のみに留まっているトプラックは相変わらず一戦一戦負けられない戦いが

続きますが、現状ジリ貧って感じですね。

ヤマハは迷った末、全部去年の仕様にマシンを戻したようですが、去年のマシンということは

実質的に戦闘力の上乗せが無い状態になりますから、そこが去年から戦闘力を上積みしてきた

カワサキドゥカティに後れを取っている要因ですかね。

去年と同じような走り、ペースで走ってもライバルはその上を行っちゃうわけですからこれでは勝てない。

変わらず、厳しい戦いは続くと思います。

 

今季、ここまで絶好調のドゥカティ+バウティスタですが、ドニントンはちょっとした

鬼門で、ここはドゥカティもバウティスタも勝ったことがありません。

ドニントンは昔ながらのオールドレイアウトコースで、

前半はダラダラした曲率の長いコーナーが続くため、ドゥカティのパワーが威力を

発揮するのは、終盤のストップ&ゴー区間だけなんですよね。

ああいうダラダラとしたコーナーはコーナーリングスピードの高さが求められ

直4マシンのようなレイアウトのマシンの方が有利に思います。

ここでも勝つようなら、今期のタイトル本命は間違いないでしょうけど、

勝てないとしてもこの不利なコースで、どの順位でゴール出来るか。

 

また、今回はBSBからワイルドカードが2名走ります。

BSBはWSBと同じくピレリワンメイクタイヤを使用していながらも

テクニカルレギュレーションが異なるため、WSBで走るには

それ用のマシンを仕立てないとならないので非常にハードルは高いです。

実際、タランの乗るマシンはBSBで使うモーテックのワンメイクECUから

WSBのヤマハが使うマニエッティマレリにECUを載せ替えているそうです。

ということは電装系を全部新規で作り直しているということですね。

チームにとっても非常に負担が大きいところだと思います。

まあ、ヤマハのワークスチームであるパタヤマハはイギリスが本拠地ですから

少なからずサポートがあったであろうことは容易に想像がつきます。

 

さて、ワイルドカードの一人は去年のBSB王者 タラン・マッケンジー

本当は今年のアッセンから出る予定でしたが、怪我によってデビューがここまで

ずれ込みました。

彼としては、ここでいい走りを見せて、来期のWSB行きの交渉を有利に進めたいところでしょう。

年齢的にはGRTヤマハのガーロフや野佐根と同年代でもありますからね。

 

もう一人は今年のマン島TTを圧勝したBMWのピーター・ヒックマン。

今、乗りに乗れている彼ですから、初めてのWSBでどんな走りを見せてくれるか。

その年のマン島ウィナーがWSBに出るというのは結構レアなケースじゃないでしょうか。

こう言ってはなんですが、成績はボロボロのBMW陣営ですから、入るスペースは

あるようにも見えますが、BMW的にはマン島ウィナーの称号はプロモート効果が

抜群ですから、どちらかというとヒックマンには公道レースで頑張って欲しいかも・・。

 

ドニントンは16、17日が決勝レースとなります。