後ろへ後ろへ その2

そして迎えた2016年。
この年からタイヤメーカーがミシュラン
変わると共に、17インチになったということで
どのライダーもフロントの頼り無さ、スタビリティの低さ
を訴えることとなりましたけど、
これは、フロントタイヤにかける荷重をブリヂストン時代よりも
さらに少なくしないと、簡単にフロントがブレイクしてしまう
という傾向だったのかも知れません。
加えて、ソフトが独自開発から共通ソフトになったことで
リヤタイヤで発生する減速側のTCSのきめ細かい制御が
出来なくなった影響もあると思います。
思ったようにリヤタイヤで減速できないと結果的に
フロントをプッシュすることになりますからね。
もてぎでロッシとロレンツォがフロントからスリップダウンしているのは
まさにそれを象徴するシーンだったか。
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だからメーカーとしては更に更に荷重を後ろよりに持っていく
その分、フロントの接地感は希薄になるから、ウイングレット
更に巨大化していくと。
ドゥカティが去年から躍進したのは共通化ソフトもさることながら
元々、ブリヂストンタイヤでもフロントの性能を出せないくらい
フロント荷重の少ないマシンだったのが、ミシュランタイヤの
前後バランスにマッチした点が大きかったのかも知れません。
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だから、今シーズン、ウイングレットを失ったことは想像以上に
影響が大きかったのかも知れませんね。
どんどん後ろ寄りに重心を持っていくのに、ウイングレット
無くなるとフロントの接地感が薄くなりますから、ライダーは安心して
攻められない。

特に元々、フロントタイヤの接地感に頓着しないビニャーレスより
(彼はミシュランに変わった時にタイヤの接地感に問題ないと
答えた数少ないライダー)
とにかくブレーキングスタビリティにこだわるロッシは影響が
大きかったかも知れません。
(自伝によれば、彼はまずブレーキングでしっかり止まれる
マシンを作るところからセッティングを進めるスタイル)
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そう考えると、序盤好調なビニャーレスを尻目に
ロッシがフレームの改良を要望していったのは、何となく
わかる気がします。
とにかく、ウイングレットを失った状態でフロントの
スタビリティを満足させつつ、かつフロントがブレイクしない
バランスのフレームというのが迷い道の出発点なのかも知れません。
今シーズンのロッシはかつてのカミソリのようなパッシングが
ほとんど見られませんでしたからね。
今年のヤマハがリヤタイヤに厳しいというのは、
その辺のバランスが崩れてしまったということかも知れませんね。
ザルコが例外なのは、また別途触れます。
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オフのテストでヤマハがかつてのウイングレットと遜色ない
大きいウイングカウルを持ち込んだのも、やはりというか
今のMOTOGPマシンは「アレ」ありきで成立する
マシンバランスで成り立っているってことなんでしょうね。

来季もあのウイングカウルがOKならば、
後ろ寄りの荷重でもちゃんとマシンバランスが成り立ちますから
ヤマハ復権は十分に有り得る話だと思います、