ピースはハマった

コロナの影響で大幅に遅れて再開された2020年シーズン。

例年の春先から夏に季節を移して行われたヘレスでの

スペインGP、アンダルシアGPは終わってみればヤマハ

合計6つの表彰台の内、5つまでを占めるという圧勝劇を見せました。

 

思い起こせば、2017年シーズンのオーストリアGPの予選終了後

余りにもふがいない結果に、ヤマハの関係者が謝罪会見を開いたのは

記憶にも新しいのではないでしょうか?

 

それから1年とちょっと、ようやくヤマハトップランナー

帰ってきました。

思えば、MOTOGPの歴史そのものがほんとどホンダを中心とする

V4エンジン勢とヤマハを中心とする直4勢との栄枯盛衰の物語

だったりしますが。

 

ヤマハのエンジニアのコメントをずっと振り返ると、やはり

当時の流行りだった後輪荷重を重視して重量配分を後ろよりに

変えたけど、結果が出なくって本来のヤマハの良さであるフロントの

スタビリティまで失ってしまったために、良い部分が何も無くなってしまったのが

低迷の要因だったようですね。

タイヤの温度に対して非常に敏感なマシンになってしまったとも。

決してホルヘ・ロレンツォが離脱し、ロッシとビニャーレスで開発を

行わなければならなくなったことが原因とは言い切れないようです。

 

ヤマハにとってさらに厳しかったのは、他メーカーがしたようにマニエッティの

エンジニアを他社から引き抜くことせず、ずっと自前で電子制御をモノにしようと

頑張ってきたために、トラクションの問題点が遂に改善出来なかったこと。

これはヤマハも認めています。

つまり、前述の後輪荷重を増やすという話も電子制御をきちんとセットアップする

ことが出来れば、また違った結果を生んだのかも知れません。

 

それはともかく、昨シーズンはそういう反省もあって、まずヤマハ本来のハンドリングの良さを活かす方向にシャシーバランスを見直したようですね。

それでビニャーレスがようやく1勝してみせて

そこに今年はプラマックから電子制御のエンジニアを引き抜いてソフトの使いこなしを充実させた。

これが後輪のトラクションの良さと摩耗の軽減につながったか。

これでシャシー、電子制御にはある程度メドがついた。

そこにニューエンジン投入。

 

今回のヘレスは非常に気温が高く多くのチーム、ライダーがフロントのグリップ不足に

悩まされることになりましたが、その中で一番マシだったのがヤマハというのは

決して偶然では無いと思います。

シャシー、タイヤ、電子制御、そしてファビオというライダーのピース、

そのピースが全てピッタリハマったからこその必然的な勝利。

 

今回のダブルウィン、表彰台圧倒はそれを表していると思いますね。

 

ただ、エンジンというピースはまだ不十分で、既に今季使用するエンジンの

大半を卸していて、内ロッシ、ビニャーレスは1基ずつエンジンを

ローテから外しているというのが不安要素です。