正直者はバカを見るのか
マット・オクスレイによるとホンダとドゥカティの
V4勢が速さを発揮している理由のひとつとして
外部フライホイールの採用があるそうだ。
外部フライホイールってのは、つまり外から
付けられるフライホイールって意味だけど
そのメリットは?というと、
今のMOTOGPのエンジンは仕様が凍結したら
封印されるので、シーズン通して同じ仕様のエンジンを使い続けます。
だから当然、クランクシャフトの重さも決まっていて
このクランクシャフトの重さがコースによって良かったり
悪かったり、つまり1種類の仕様しかないとコースごとの
相性みたいなものが出てしまう。
外部フライホイールってのはこれを解消する裏ワザみたないもんで
これを色々な重さの物を取り付けることで
クランクシャフトのウェイトを重くしたり、軽くしたりと
同じ効果が得られるというものらしい。
つまり、グリップのいいコースだとタイヤがグリップするから
軽いフライホイールにしてビュンビュン回る仕様のエンジンに出来るし、
グリップの悪いコースだとしっかりとタイヤをグリップさせるために
重いフライホイールを取り付けることで、
トラクションのいいエンジンにすることが出来るということ。
まあ、ミシュランが持ってくるタイヤとコースとの相性次第ってのが
一番大きな要因になるかな。
つまり凍結されていて1種類しか無いエンジンを
よりコースにマッチした仕様にカスタマイジング出来るという話。
で、V4エンジンだとそもそもエンジン幅がスリムだから
エンジンの外側にクランクシャフト軸線上に
この外付けフライホイールを付けられるけど
直4は横幅があるからバンク角の制限上付けられない。
だから直4が不利だ、という理屈のよう。
同じV4でもドゥカティとホンダは既にこの技術をものにしていて
よりサーキットに合わせ込んだエンジンで走ることが出来るけど
オーストリアでタイヤが全くグリップしない症状に見舞われた
重いウェイトをつけて、よりトラクションに優れた仕様の
エンジンに出来れば、問題は出なかったのかも。
まあ、どちらにしろ、IMUの件同様、レギュレーションの
隙間をついた姑息な手だとは思いますけどね。
レギュレーションを真正面から受け止めて、真摯に対応している
ヤマハが損をして、抜け道を見つけたライバルが前を行く構図は
必ずしも気持ちいいものではないな。