勝つための本筋

海外の記事によれば、ヤマハも遂に

外付けフライホイールを開発しているんだとか。

 

外付けフライホイールとはなんぞや?

という話ですが、これを説明するには今の

MOTOGPのレギュレーションを説明しないといけないでしょうね。

 

現在MOTOGPはシーズン前に登録した仕様のエンジンで

封印され、シーズンを通してこの仕様を変更、改良が出来ません。

現場ではエンジンの分解も出来ません。

シーズン通して1種類のスペックのエンジンで戦うわけです。

(優遇措置を受けるメーカーは除外)

しかし、シーズン通して様々なグリップの路面、様々な路面温度状況

コースごとに持ち込まれるミシュランの種々のスペックのタイヤ

これらに対して柔軟に微細にアジャストし結果に結びつけるには、

エンジンの仕様、具体的にはクランクシャフトのウェイトを変化させて

エンジンの発生する慣性力を変えることが重要になってきます。

しかし、前述の通り、エンジンを開けて変更することは許されない。

じゃあ、開けなくて良いように外からクランクシャフトの端に

ウェイトを付け外し出来るようにしてしまえ、というのが外付け

フライホイールの狙いとなっています。

ホンダ、ドゥカティアプリリアのような横幅が狭い

V4エンジン勢は既にこれを採用していると言われていて、エンジンの横幅がある

直4のヤマハとスズキは採用できないと言われていました。

これをヤマハは克服して、使えるようにしたということのようですね。

 

ただ・・・・この外付けフライホイールっていうテクニック(技術)

そのものが、レギュレーションの間隙を突いたMOTOGPだけにしか

通用しない裏ワザみたいなもんで、レースバイクの進化発展に寄与するか

というとそうも思えないんですよね。

 

ぶっちゃけ、2016年に共通制御が導入されてマシン差が縮まって以降の

主にドゥカティが投入している技術であるマスダンパーやらウイングレットやら

スプーンやら、何やらこれやらはどれもその裏ワザに近いものばかりで

レースバイクの進歩に寄与しているものは少ないように思いますよね。

 

かつて、HRCの中本さんが強固に電子制御の共通化に反対したのは

この電子制御分野の進化発展の余地が小さくなるのと、こういった枝葉の分野に

力を注がないといけない状態になることを見越していたのではないかと想像しますね。

勝つための本筋ではなく、枝葉に注力しないといけない状況。

 

そういう意味では今のMOTOGPは興業としては接戦が多くて面白いけど

技術者的な観点で見ると、ブレイクスルーが少なくイマイチつまらないかも??