尖った鉛筆

シーズンが進めば進むほど、今年のRC213Vに乗る

クラッチロウの悪評は高まっていくようですね。

マルケスも勝ってはいるものの、他のライダーに比べて

疲労ぶりが著しいです。

 

そもそも今季型マシンでホンダが目指したのはドゥカティ

負けないトップスピードの実現で、そのためにラムエアダクトを

ステアリングヘッドを貫通させて、ストレートにエアボックスに

導くようにレイアウトを変更しました。

去年まではカウル正面から取り入れた空気を両方に分けて

フレームの横からエアボックスに導いていました。

実際、この狙いは当たってドゥカティに肩を並べるトップスピード

加速力を実現しています。

今季のマルケスのレース運びはこのライバルに匹敵するパワーが

あるがために、立てられる戦術によって勝っている面も多いですね。

 

しかし、このダクトをステアリングヘッドを貫通させていることによる

ネガティブポイントもあって、それがステアリングヘッドの変形度合いです。

今のGPマシンはブレーキングからのターンインで

このステアリングヘッドがグーーンと変形することでフロントタイヤの

グリップ、旋回性を引き出すという側面があるのですが、

今年のマシンはその変形度合いをライダーに上手く伝えることが出来ていない

ようです。

クラッチロウが訴えているのはその部分のようですね。

ブレーキングからのターンインでステアリングヘッドが変形する感触を

ライダーが感じることで、寝かし込んでいくけど、今年のマシンは

それが唐突で(恐らく剛性が高すぎる)あるポイントで急激に

曲がっていくようです。

結果的にフロントからスリップダウンしてしまう。

去年型との比較が出来ないホルヘ・ロレンツォはずっと

フロントに信頼感が置けないとコメントしていますね。

 

かなりハンドリングが過敏というか、シビアな今年RC213Vはそれでも

マルケスの卓越したライディングによってタイトルを獲得しそうですが

これは彼の類まれな反射神経の賜物で、道具としては到底褒められるレベルとは

言い難いでしょう。

それは他ならぬホンダがわかっていることでしょう。

言ってみればいつ折れてもいいぐらいにピンピンに尖らした

鉛筆の芯を折らずに文章を書ききる作業と言いますか・・・。

 

トンガったマシンのレベルの高さを維持したまま、その面積を広げる

来季のマシンは間違いなくそういうコンセプトでくるでしょう。

同じ綱渡りでも綱を落ちにくい太さにする。

それが出来ればホンダのワークスマシンを駆る3人が速くなれるはず。

 

まずは今年のオフテストのカルとホルヘのインプレッションから

要チェックですね。