ホルヘのフロント問題
ホルヘ・ロレンツォはアラゴンGPではとにかく
フロントタイヤの改善に注力したとコメントしています。
リヤタイヤのトラクションを無視してまで注力したそうで
結果的に決勝では早々にリヤタイヤが終わってしまって
ペースがどんどん落ちるという結果になってしまいました。
スズキの開発ライダーである青木宣篤さんによれば、
ミシュランの17インチフロントタイヤになってからは、
タイヤの限界値が下がったために、各メーカーともフロントタイヤに
負担をかけない方向性のマシン開発、
つまりリヤ荷重重視の方向にシフトしていっているそうです。
リヤ荷重の多さはメーカー順にドゥカティ、スズキ、ヤマハ、ホンダだ
そうで、これは逆にいえば、フロント荷重がこの中で最も高いのは
ホンダのRC213Vだということになりますね。
つまりブレーキングでフロントタイヤに最もエンジンの荷重が乗って
ずっしり重たいハンドリングになるのが、RC213Vってことになりますね。
それはホンダのマシンが基本的にハードかミディアムのタイヤしかフロントに
履けないことにも合致します。
荷重が多くかかる分、固めで腰がしっかりしているタイヤじゃないと
フロントが腰砕けになってしまうんでしょうね。
ホルヘにとってはそのずっしり重たいハンドリングがまさに
彼の走りの最大の長所を消していることになっていると思われるわけで、
彼が思うようなフロントの旋回性が全然出てこないんでしょう。
だから彼はあえてフロントにソフトタイヤを履いたり、
ホンダに穴あきタイプのトップブリッジを作ってもらったりしているんでしょうね。
フロント周りの剛性をとにかく落としていく感じ。
同じV4エンジンでもドゥカティで快走したのに、ホンダで全然ダメ
というのもフロントタイヤにかかる荷重が全然違うからでしょうね。
フロントタイヤの自由度がドゥカティの方が大きく、
ホルヘのフロント旋回のテクニックの入る余地がある。
多分、細かくステアを切ることによって、マシンがグングンイン側に
入っていくような乗り方をしているんじゃないかな?
ところがホンダのバイクはフロントがビッタリ安定している上に
ステアを切ると、フロントが切れ込んで転倒してしまう。
加えて今年のフレームはクラッチロウが苦言を呈するように
フロントのフィーリングが伝わりにくいですから
問題はますます増幅される方向に。
今のエンジン搭載位置、前後の重量配分のフレームでは
今の問題はずっと解決することは無い、ホルヘが本来の走りを
見せることはない。
と個人的には思っています。
が、ホンダもそれは百も承知なわけでして、来年にかけて
マルクとは別仕様のニューフレームを準備してくれればと
淡い期待を抱いていますが、果たして・・・・・??
ホンダは過去にも2人のライダーに別仕様のフレームを
与えて走らせたりした実績がありますから。