2021年の傾向と対策

またタイヤのネタ?と思われるかも知れませんが

4戦を経過して、今年のMOTOGPクラスのタイヤの傾向が

見えてきたので、まとめておくかなと思った次第です。

 

今シーズンのタイヤの傾向として特徴的なのは、主にKTM

訴えているフロントタイヤの安定感の無さと

ホンダの中上君、スズキのミルなんかが訴えているリヤタイヤの

安定感の無さですね。

 

KTMが訴えているのは、去年彼らがメインに使っていた

ハードコンパウンドのフロントタイヤがほとんど持ち込まれなくなったようで

あるいは、左右対象ではなく、左右非対称のタイヤになって

フロントタイヤの剛性が落とされたものが持ち込まれているようです。

これはカタールで中上君が失速した要因でもありますね。

カタールに持ち込まれたタイヤだけがそうだったのかと思いましたが

それ以降のポルトガル、スペインでも基本的にこの傾向は変わっていないようです。

実際、テック3の2人、ペトルッチとレコーナはこれが原因で大不振となっています。

ワークスのビンダー、オリベイラは何とかセッティングで対応してきているあたりは

さすがワークスチームだなという感はありますが、去年のような

強い走りは出来ていないですし、何よりも転倒回数が増えましたね。

フロントのスタビリティが落ちているわけですから、前から転倒するケースが

多くなっていることが予想されます。

 

 また、リヤの安定感が欠けるというのは、去年、ミシュランが投入したリヤタイヤは

非常にグリップの強いタイヤで、このタイヤにベストマッチングだったスズキ

あるいは、そのスズキを見習ってシャシーを改良してきたホンダからすると、

今年のタイヤはグリップ力が下がっている分、安定感に欠けると感じるようです。

今回のヘレスで中上君が2020年型ベースのシャシーで好走してましたけど、

あれはそのグリップが強いリヤタイヤに対応する前のシャシーなんで、結果的に

今年のややグリップが落ちたタイヤとのマッチングがいいんでしょうね。

 

そして、やや剛性が落ちたフロントタイヤとややグリップが落ちたリヤタイヤ

という今年の傾向のタイヤにベストマッチなのは、ヤマハドゥカティなんでしょうね。

特にドゥカティは6メーカーの中で、一番リヤ荷重の多いマシンのため、リヤのスタビリティが

高いんだけど、そこに去年はグリップの高いリヤタイヤを投入されて前後のバランスが

崩れてリヤが強いというか、リヤが勝っている曲がりにくいマシンになってしまった

感がありましたが、今年のグリップが落ちたタイヤになってかなり改善されている模様。

そして、リヤ荷重が多い反面、フロント荷重が少ないわけですから、柔らかいタイヤが

履ける、今年の柔らかくグリップの高いフロントはドゥカティ向きでしょう。

 

そもそもジジさんはホルヘ・ロレンツォが加入してからデスモセディッチの苦手とする

エリアである旋回力の改善に注力し始めたようで、その辺はドヴィが一切話を

聞いてくれなくなったというコメントからでもわかるところです。

ですから、ホルヘがホンダに去った後、やや強引とも言えるやり方でザルコを

アヴィンティアに押し込んだのは、ホルヘで始めたフロントを使って旋回する方向性の

開発を継続するには、同じような乗り方をするザルコがどうしても欲しかったんじゃないかと推測されます。

そして、今年はそれがタイヤのマイナーチェンジもあって実を結びつつあるのかなと思われますね。

それでも、万全な状態のヤマハに対抗できるのかというと、まだまだサーキットに

よる部分はあるとは思いますね。

 

そして、ホンダ、KTMといったやや出遅れた感のあるメーカーがいかに

マシンを改良して、追いついてくるか、非常に興味深いところです。

特にホンダは中上君が2020年型と2021年型を乗り比べた結果、

2020年型を選び決勝で強い走りをしましたから、光明を見出した感があるので、ここからどこまで巻き返せるか。

とにかく去年から続く、未勝利記録には早く終止符を打ちたいところでしょう。

 

そして最後にロッシ。彼には今年のタイヤは全く合っていないようですね。

フロント、リヤ共にタイヤが柔らかすぎてブレーキングで止まらない

加速も思うように加速しない。彼のスタイルとは決定的に相性が悪い。

厄介な事にクオルタラーロが結果を出している以上、ヤマハがロッシの

声を聞いて、シャシーを改良してくれる可能性は相当に低いだけにね・・・。