共通ソフトを騙せ

どうやら来シーズンからIMU(慣性測定ユニット)が
統一仕様の方向になるようです。
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IMUというのは、いわゆる6軸センサーなんかの
類のもので、車体の傾きや前後の車高なんかを検出して
ECUに送るユニット。
今の電子制御に欠かせない部品です。

ここに関しては規定がなくメーカーは自社で調達してきた
ものを自由に使って構わないことになっているんですが、
現在はこの部品を上手く使うことが共通ソフトの使いこなしに
大きく関わっているようです。

以前、中本さんが説明してくれたのは、共通ソフトの仕組みの
中で、例えば加速側のTCSの効きを、1から2に上げようとした時に
あれとこれとそれというように、複数のパラメーターを
いじって、ようやく、TCSの効きが1から2になる。
つまり、TCSの効きを2にしたくても複数のパラメーターがその条件を
満たしていないと、2になってくれないんですね。
どれかひとつでも欠けてもダメと。
例えば車体の傾きが40度を超えないと2にならないとかね。

ちなみにメーカー独自ソフトの時代はそんな七面倒なことは
やっていなくって、PCの画面上に出ているTCSの効きを変える
ダイヤルを回すだけで、強くしたり弱くしたりできるそう。
つまり、複数のパラメーターが最初からプログラムに含まれているもの。
ある意味、マニエッティのソフトは自由度が高いとも言えますが・・。

現在、トップチームがIMUでやっているのは、
このIMUから出力される数値を、センサーが実際に検知している
数値から加工することで、共通ソフトを思いのままに操るという作業。
つまり、前述の例で例えれば、車体の傾きが40度に達していなくても
IMUからECUに送られる数値を40度にすれば、TCSの効きが2になるんですね。
これだと複数のパラメーター数値を全部加工すれば、車体が直立している状態でも
TCSをバリバリ効かすことも可能になる。

どうもこれが上手く行っているのがドゥカティだったりホンダだったり
上手くいってないのがヤマハだったりということみたいですね。
どのパラメーターをどういう風に加工すればいいのか把握しているかどうか。
共通ソフトの構造を知らないと出来ない裏テクとでも言いますか。
それが差となって成績に表れている模様です。
だから、来季から統一あるいは禁止しようっていう流れになっているようです。

なんていうか、今のMOTOGP
ホントに末端の部分の細工で勝負しているって感がして
何だかな~~って感じなんですよね。
結局、規制でどんどんやれることが少なくなるから
結果的にこういう末端部分で差を出すしか無いんだろうけど、
それってどうなの?っていつも書いていることだけど思う。
ウイングもそうですけどね。

まあ、ルマンの予選では1秒以内に20台から入っているから
見世物としては成功なんでしょうが・・・・。
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