2017年の傾向と対策 ⑤

前半戦の大不振から一転、後半戦
見事な巻き返しをみせたスズキ勢。

今季は2017年の最終戦仕様をベースにした
熟成仕様で戦うそうです。
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スズキにとって不運だったのは2017年シーズンの早い段階で
リンスが負傷欠場してしまったこと。
イアンノーネがコメントしているように一台体制だと
成績が悪かった時に比較対象が無いために、悪い原因がどこにあったのか
突き止める前にシーズンがどんどん進んでしまって
それが悪循環に繋がってしまったようです。

ですから、スズキサイドの責任者が変わった中盤で
わざわざ日本からテストマシンを空輸して、
イアンノーネ、リンス、そしてギュントーリを揃えて
テストをしたのは、その辺の問題点の洗い出しとその後の方向性の
確認の目的があったように思います。
言ってみれば五里霧中の中、霧を晴らす必要があったと。

イカーズステーションでお馴染みホンダOBの小澤さんによれば
電子制御のTCSの精度が共通ソフト化によって、トラクションが下がった現在の
MOTOGPにおいて、フレーム、スイングアームの剛性は重要で、
このバランスを使ってリヤタイヤのグリップを上手く前に伝達することによって
フロントタイヤのグリップを増すことが出来るそう。
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後半戦に入ってから、イアンノーネはスイングアームピボット周辺を
強固にした新フレームを投入してますが、元々ドゥカティに次ぐ
後ろ重心の(青木ノブさんいわく)GSX-RRはフロントタイヤのスタビリティが
足りてませんでしたから、それを改善する目的があったか。
従来型のフレームでは柔らかすぎてしまったのかも知れませんね。
つまり、リヤタイヤのグリップ力をよりしっかり前に伝えるモデルチェンジ。
(上が従来型、下が新型)

そして更にフロントタイヤのグリップを改善したのがもてぎから
投入した新しいウイングカウルで、これによって、非常に
安定した速さを手に入れることができましたね。
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この影には、ミザーノ、アラゴンとギュントーリがヨーロッパで
テストを行っていたという功績がかなり大きく、彼が今季
正式にテストライダーに昇格したのは、そういう実績あってのことでしょう。
もちろん、わざわざテスト機をヨーロッパに持っていったのは
そういう目的があってのこと。

残念ながら感覚派のイアンノーネと若手のリンスの
レギュラー2人はマシンの開発の良し悪しを判断できないコンビ
ですから、ギュントーリの立場は非常に重要。

そういう意味では今年の体制というのは、非常に歯車が
噛み合って、キチンと前に進むであろうと思われる体制だと思うので
期待がかかるところ。
もちろん、優遇策のアドバンテージがあると言うのも大きいと思います。

どこまで上がってこれるか。