2017年を振り返る⑥ オレンジパワーの躍進

とにかく、ここは社長のステファン・ピエリエの
挑発的な発言が多いから、正しく評価されにくい
ところもあるけど、純粋に見ればルーキーチームの
戦いぶりとしては、最高峰クラスであることを考えれば
素晴らしい戦いぶりだったと思います。
イメージ 1
とにかくルーキーチーム、メーカーってことで
全コースのセッティングデータがあるわけじゃないし、
更にホンダやヤマハでも苦戦する共通ソフトを使い
誰も使っていないWPのサスで戦うって初づくしで
ここまでやったってのはホント、大健闘。

特にMOTOGPはシーズンを戦いながら途切れることなく
マシンを開発していくカテゴリーだからライバルに
追いつくためには、ライバルを上回るハイペースで
開発を積み重ねなければならず、それは相当にハードな仕事。
さらにその開発の方向性が間違ってないか、あるいは開発したものを
ちゃんと結果に結び付けないとならないなど、ハードルは高い。
今年のヤマハみたいに方向性を誤る場合もあるからね。
イメージ 2
何しろ、開幕戦ではポールから2.5秒も遅れてましたから。
一周で2.5秒の差っては、とてもじゃないけど、追いつけないレベル。
そこから早くも3戦目にビッグバンエンジンとウイングカウルを投入してくる
あたりにKTMの本気が伺えるというもの。
第3戦はアメリカのオースチンで、言ってみればフライアウェイで
新しいタマを投入しにくいんだけど、そこに間に合わせたわけだからね。
イメージ 3
エース格のポルに言わせると、マシンはかなりブレーキングスタビリティが
強い仕様で、逆に言えば曲がりにくいって部分があって
ライダーが頑張って走れば曲がるけど、レースでは到底もたないってのが
当初のシャシーだったようですね。
だからそれ以降はいかに曲がるシャシーを作るかって所に開発の
焦点を当てて、開発をしていたようだけど、アラゴンからカリオが
使ったシャシーがかなり良くって、もてぎから急激にポジションが上がってきたのが
印象的でしたね。
終盤に限れば、予選で一桁グリッドに入っても全く不思議ではない
速さをみせていました。
開幕戦で2.5秒の大差をつけられていた事を考えれば、わずか
半年で彼らが成し遂げた仕事の成果は素晴らしいものと言えるでしょう。
このフレーム、開幕当初のエンジンが搭載できない位
変わっていたらしいから、ほぼ別物くらい違うみたいですね。
また、レギュレーションの隙を付いてカリオを4戦走らせたのも
大きかった。
エンジンの基数制限やマシンのスペックはワイルドカードには
細かく適応されませんから、試作マシンを先行投資的に走らせることが
可能で、それを有効に使った形ですね。
もっとも、来季からは細かく制限がかかることになりましたが。
イメージ 4
来季も引き続き、優遇策を受けられる立場ですから、
ホンダ、ヤマハドゥカティといったフロントメンバーを
キャッチアップする姿を見ることが出来るかも知れません。
そもそも、そこが彼らの目標ですからね。
そこまでくればサテライトへの供給も始めるでしょう。
イメージ 5
しかし、ドゥカティが捨てたトリレスフレームという手法でも
全く問題なく、戦えることを証明したあたりは
ドゥカティのメンツ丸つぶれだな。