KTMの悩みは深く

カタルニアGPで出場した全チーム、ライダーの中でKTMの4人のライダーだけが

全員フロントにハードタイヤをチョイスしていました。

今季ここまで大雨のインドネシアオリベイラが勝ったものの

それ以外は優勝争いに絡む位置で走れていないKTMですが、このタイヤチョイスに

苦悩ぶりが伺えます。

 

KTMのルーキー2人、レミー・ガードナーとラウル・フェルナンデスの

コメントを読むと、とにかく今年のマシンはフロントタイヤのフィーリングが伝わってこないようですね。

それが2人の低迷ぶりにも繋がっているようですが、特にフロントを重視するスタイルの

ラウルには悪影響が大きいようです。

安心してフロントから攻め込んでいけない。

 

元々、KTMは過去に優勝したレースはフロントにハードタイヤを履いていた

場合が多く、フロントに固いタイヤを履いて、フロントから攻め込むマシン作りで

戦ってきましたし、それが強みでもありました。

オリベイラが母国で優勝を飾った2020年の最終戦は前後共にハードタイヤを履いていました。

しかし、昨今のミシュランのタイヤのバランスを考慮して、

リヤタイヤを重視して、前後の重量配分をややリヤ寄りに移した結果、

それまでのマシンの良さが消えて、いい部分が全く無くなってしまったという感じのようですね。

このあたりは今年、大幅にマシンコンセプトを見直してきたホンダにも通じる問題が

あるように思います。

 

カタルニアでのフロントハードチョイスは、その辺の低迷から抜け出すための

苦肉の策とみてもよさそうです。

多分、現行マシンで出来うる限り目いっぱい、重量配分を前に移してみたという

ところでしょうか?

 

その後のカタルニアのテストではスイングアームピボットを前後上下に可変出来る

フレームを投入してますから、もうマシンのディメンションから見直さないとならないレベルで今年のマシンは迷路にハマってしまっていると見ても良さそうです。

 

ホンダの低迷もそうですが、それまで得意とするハンドリングコンセプトを

捨てて、不得意な領域を克服しようとするのは、非常に難産であるということを

KTMは今、痛感しているかも知れません。