デタミネーション

ザクセンリンクで行われたドイツGPは

昨年のスペインGPで転倒、腕を骨折し、以降

そのリハビリに年月を費やしたマルク・マルケス

実に1年ぶり以上となる優勝を遂げました。

 

昨日のレースっぷりを見ていると、マルクは

かなり強いデタミネーションを持ってこのレースに

挑んだことが分かりますね。

 

このデタミネーションという言葉をよく使っていたのは

かつての王者ミック・ドゥーハンでした。

よく使われるモチベーションがどちらかという

きっかけや動機と訳されるのに対して

デタミネーションは強い意思、確固たる意思などと訳されます。

非常に強い決意の表れとも言えるでしょう。

 

マルクからすれば、今季、一番勝てる可能性が高いコースで

勝つための戦略を練って、それを強い意思で実践したレースと

言えるかもしれません。実際彼はレース前にドゥーハンと30分

話をしていたそうですね。

 

まず、スタート直後の2周の間に彼はトップに立ちました。

スタートそのものは良くも無く悪くも無く無難でしたが

かなり強引にファビオのインを突いて前に出て、すかさす

アレイシ・エスパルガロに仕掛けてトップに立ちました。

翌週、アレイシの逆襲にあって、一時トップを譲りましたが

すかさず抜き返してますね。

 

このレース、マルクは早めにトップに立って、自分のペースで

プッシュする形を早く取りたかったことが想像されます。

抜きどころの少ないザクセンは他のライダーの後ろについてしまうと

なかなか前に出ることが出来ず、混戦になることが多いです。

実際、アレイシの後ろには渋滞が出来ていましたね。

このドイツから前の3戦を全て転倒リタイアしているマルクからすると

混戦の中で、自分のラインで走れないということは、

走りながらタイヤに同じように荷重をかけるラインを走れないということ。

元々、フロントタイヤの荷重を維持するのが難しい傾向のRC213Vだと

自分のラインで走れないと荷重バランスが変わってフロントを失いやすく

かつ、今のマルクは肩の稼働域が十分で無く、そういった時のマシン上で

うまくバランスが取れず、そのまま転倒してしまっているように思えます。

だから自分のラインでしっかり荷重をかけられる走り方が最善策。

 

そうして自分のプラン通りにトップに出て逃げ出したマルクにとって

幸運だったのは、4周目からパラパラを雨が降り始めたこと。

このタイミングでファビオが顕著でしたが、ラップタイムが乱れるんですよね。

そして回復するまでに2,3周費やしてしまった。

このタイミングをマルクは好機と捉えました。

ここでタイムを落とすことなく走り続けることで後続との差を一気に

広げることに成功しました。

最終的にオリベイラに詰められたことを考えると、この時稼いだマージンが

無ければ逆転されていたかも知れません。

 

ああいうネガティブになりやすい状況で、前向きに攻める気持ちで

走れたのは、まさしく強いデタミネーションあってのこと。

 

昨日の勝利を手繰り寄せたのはまさしく王者マルクの強い意志の勝利であった。

そう感じられるレースでしたね。

あの意思の強さがある限りは彼はトップライダーの一角を占めることになるでしょう。