ヤマハに何が起こったのか
シーズン終盤を迎えて驚天動地の出来事となった
ヤマハへのペナルティ。
これについて、ヤマハMOTOGPチームの監督であるリン・ジャービスが
ヤマハ内部に起こった一連のペナルティに繋がった
出来事について、説明しています。
事の発端は昨年の中盤、今季使用するエンジンの仕様が固まり
各パーツサプライヤーへの発注を終えた段階でバルブ製作メーカーから
これ以上の製作は出来なくなる可能性があるという打診を受けたことから
だったようです。
当然、ヤマハはこの従来のサプライヤーに代わるサプライヤーを探し
こちらにもバルブを全く同じ仕様で作るよう発注しました。
仮に元々のメーカーをA社、新しいメーカーをB社とすると
ある段階で、ヤマハにはA社とB社のバルブが存在していたことになります。
2020年シーズンが始まる前、ヤマハはメーカーとしてそのシーズン使用する
エンジンはこれですと標準エンジンを提示する義務があるのですが、
これに搭載されていたバルブはA社のものでした。
一方、実際にレースで使用することになったエンジンにはA社とB社のバルブが
混在して搭載されており、この段階でヤマハとしてはバルブのメーカーが違っても
下請けに発注している仕様が同一で、これは同一製品とみなして問題なし
という判断を下したようですね。
あるいは、このまま、何も起きなければこの問題は日の目を見ることなく、
公然にさらされることは無かったかもしれません。
ところが、実際はそうはならず、このB社のバルブを搭載したエンジンが
MOTOGPの開幕戦となったヘレスでのスペインGPでトラブルが発生。
原因を調査した結果、B社に発注したバルブに製品不良があったようです。
これを受けて、ヤマハはB社のバルブを正常な製品に交換しようとしたものの
それは規定違反であるといおうことから、引き続き使用。
ただし、破損の恐れがあるため、レブリミットを下げて対応をしたようです。
マニュファクチャラー協会に報告書を提出して、認可が得られれば
合法的にエンジンの凍結を解除してバルブを交換できるのに、
それをせず、引っ込めたのは上記の理由だったからとのことです。
その辺の一連の出来事が現時点になって、全て調査が終わったということですね。
いずれにせよ、ヤマハファンとしては、ものすごく残念な出来事ですね。
FIMがタイトル争いの興を削がないために、ライダーのポイントを剥奪しなかったのは
救いかも知れませんが、これは全ポイント剥奪くらいのインパクトのある出来事。
特にヤマハは慎重すぎるぐらい慎重な社風だけにこれは無いよというところ。
この汚点はずっと残ってしまうんだろうな。
2020年シーズンの後味を悪くする出来事。