走れば走るほどに

多くの転倒者を生んだエミリアロマーニャGPですが、

その要因は2週連続開催にあったようですね。

 

つまり、2週連続開催によってセッティングが進んでペースが

上がったこともありますが、大きかったのは路面にラバーが

付着して、いつも以上にグリップが上がっていたことが要因として

あったようです。

 

サンマリノGPからエミリアロマーニャGPの間に

1日のテストが行われたことも影響していたようですね。

 

これにより今年、グリップを増したリヤタイヤを投入している

ミシュランタイヤの特性が更に増強されることとなり、

リヤタイヤがフロントを強く押すプッシュアンダー傾向が更に

強くなっていたようです。

それが、フロントからの転倒が多くなった原因のようですね。

 

元々、今季のタイヤに対して苦戦していたドヴィジオーゾが

予選で低迷したのは、更にマシンの安定性が強くなって

曲がりにくくなってしまったのが原因ですし、

今季のタイヤに非常に合っているスズキが苦戦したのも

この要因だったようです。

 

逆にドヴィやスズキのミールが決勝で上がってこれたのは

リヤタイヤが消耗することによってハンドリングが改善されて

ペースが上がったということだったようですね。

 

2週連続開催はこういう事も起こりうるんですね・・・。

あちらを立てれば、こちらが立たず

WSBはカタルニアラウンドが開催され

土曜日にスーパーポール及びレース1が行われました。

 

結果はジョナサン・レイがポールトゥウィン。

そしてランキング2位のスコット・レディングは2位に終わり

タイトル争いになんとか踏みとどまる格好となりました。

 

今回のレース、非常に興味深かったのは、レディング、デイビスという

ドゥカティワークスの2人が予選7、11番手という中盤からスタートし

最終的には2,3位になったというところでしょう。

 

今回のドゥカティワークスは明らかに決勝でのリヤタイヤのケアに

重点を置いたセットアップに注力しており、それがこの結果に

繋がった形ですね。

ただ、それだけタイヤに優しい、タイヤへのケアに重点をおいた結果

タイヤへの攻撃性が低い、タイヤが発熱しにくいためでしょうか

予選のような短い周回でタイヤに熱を入れて、最大グリップを引き出すことが

難しくなっているように見受けられます。

それが予選で中盤に沈んでしまった要因でしょうね。

 

ジョナサン・レイが一枚上手なのは、決勝できっちりタイヤを

ケアできるセットアップをしながらも予選での一発の速さも

引き出せる部分でしょう。

 

まだまだドゥカティの抱える課題は大きいように思います。

 

 

改善の功と罪

WSBは初開催のカタルニアでの戦いが今日から始まります。

注目はやはり、カワサキ+レイに対してドゥカティ軍団が

どう対抗するかというところでしょうか。

 

気になるのはアラゴンでのドゥカティ勢の戦いぶりですね。

予選用と言われるスーパーソフトのPCXを履いた

マイケル・ルーベン・リナルディが好走して初優勝を

飾った反面、同じタイヤを履いたワークスの2人は

走行距離の短いスーパーポールレースではレディングが勝ったものの

通常の距離を走るレース1ではデイビスが、レース2ではレディングが

いずれもこのPCXを履いて負けています。

 

ドゥカティワークスは3ヶ月の休止期間の間に車体の構成を

大幅に見直して、リヤシートを大きく下げ、燃料タンクも後ろにずらし

重心を後ろに低くという方向で車体を作り直してきたように見えます。

これは従来の高い位置にライダーを座らせると、レディングやデイビスのような

長身で体重のあるライダーだとブレーキングで前が止まりきらないことが

多いことへの対策に見えますね。

実際、このモディファイした車体でヘレスでレディングがダブルウィンを飾ってます。

 

ただ、それだけ重心を下へ、後ろへとずらすとそれだけリヤタイヤの負担が

増すことになり、それが従来の車体構成のマシンで走るリナルディに比べて

リヤタイヤの消耗が激しい結果に繋がっているように見えます。

 

そしてカタルニアなんですが、このコースはダラダラと曲率の大きいカーブが

多く、コーナーリングセクションが重要になってくるコース。

ここでもタイヤの使い方が重要なポイントになってきそうです。

となると、前回のアラゴン同様、コーナーの得意なカワサキ+レイ有利な展開になる

となりそうですね。

これ以上、負けられないドゥカティにとっては厳しい戦いが続きそうですね。

そう考えると、車体の大幅改良もメリットよりデメリットが大きいような気がしてきた・・・。

ミザーノラウンド 考察

終わってみればフランコ・モルビデリの初優勝で

終わったサンマリノGP。

 

ここでは各メーカー、チーム、ライダーの傾向から

決勝リザルトに繋がったキーポイントを考察してみたいと思います。

 

まず、大前提としてこのコースはフロントで旋回する直4向け。

実際、コースへの適合性でいえば、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ

ホンダ、KTMアプリリアの順だったでしょうか?

 

そしてレッドブルリンクで問題となった高すぎる前輪荷重配分も

このコースでは良い方向にヤマハは進んだようでしたね。

ヤマハほど前輪荷重が高くないスズキは初期旋回というより

ブレーキをかけたままでのクリップまでの旋回性で勝負した感じでしたね。

 

ただ同じヤマハでもハードをフロントに履けるペトロナス

ミディアムしか履けないワークスが決勝のリザルトを分けたようですね。

これは去年からの傾向でペトロナスはフロントにハードを履いても

タイムがキチッと出せるのに対して、ワークスチームは履けない?履かない?

ために、決勝ではロッシが明らかにフロントタイヤの消耗に泣く形となりました。

同じミディアムをフロントに履くスズキですが、ヤマハほど前輪荷重が高くない

つまり前輪の負担が小さいため、消耗が少なくそれが終盤のミールのパッシングに

繋がった形だったと思います。

フロントにハードを使えるセットアップを見つけないとロッシもビニャーレスも

来週も二の舞になりそうです。

 

このセットアップという意味ではドゥカティも今年の傾向として

ミッキーマウスタイプのコースではプラマックの方がよく曲がるセットアップで

ワークスの方が苦戦傾向はヘレスに続いて今回も変わらず。

ホイールベース長、キャスターアングル等々、アジャスト箇所の多い

ドゥカティですが、プラマックはいいポイントを見つけているようですね。

ワークスの方は去年までの成功したセットアップに引きづられている模様。

非常にブレーキングの安定性が強く曲がらないみたいです。

元々ブレーキング安定性重視のセットアップなんですが、今年のグリップを

増した新しいリヤタイヤを入れるとその傾向が強くなって

マシンが曲がってくれないようです。

そして同じセットアップでもバグナイアの方がミラーよりも丁寧な

アクセルワークでタイヤを長持ちさせることが出来る。

かつてのMOTO2時代のウルトラスムーズな走りを思い出しました。

 

2週連続開催は同じようなリザルトになる傾向がありますが

今季は中間にテストが挟まるので、そこでセットアップの方向性で

新しい何かが見つかれば、違うリザルトになる可能性もありますね。

ヤマハワークス、ドゥカティワークスは何か改善策を見つけることは

出来るんでしょうか?

地獄から天国

一個前のエントリーでヤマハはミザーノで

復活するでしょうと書きましたが、予想通りいや予想以上の

好調ぶりでビックリしました。

 

ミザーノはヘレス同様、アップダウンがそこまで無く

曲がりくねったミッキーマウスタイプのサーキットで

フロントの旋回性が鍵になってくるコース。

 

フロントのスタビリティ、旋回性が高いヤマハのM1とは

相性が抜群だったということでしょうね。

レッドブルリンクで弱点になった直4を前に積んでフロントに

しっかり荷重をかけるマシンバランスがいい方向に

働いているんでしょうね。

 

加えて、再舗装されたものバンプだらけのミザーノでの

バンプライド性能も良い模様。

シャシーがいい具合にいなしてくれるみたいですね。

 

でも逆にいえば、通常であればシーズン通して18、19種類のサーキットを

周り、そこで満遍なく上位で走らないと世界王者になれないわけですから

そう考えてみるとまだまだ課題が多いという感はありますね。

 

まだ、得意なコースと不得意なコースの落差が大きいと感じます。

不得意なコースでもそこそこの位置に来てくれないと。

 

ミザーノの注目点

さて、インターバルを置いて再開されるMOTOGP

イタリアのミザーノから始まります。

ここからMOTOGPは一気に怒涛の連戦となるので、

ほぼこの連戦でチャンピオンシップの雌雄は決するのでは無いかと・・。

 

注目すべき点は多いですが、まずはレッドブルリンクで散々だった

ヤマハ勢の復活。

これに関しては全然心配してなくって、レッドブルリンクの不振は

アップダウンが激しいコースレイアウトにヤマハのマシン作りの

方向性が決定的にミスマッチであったことが原因では無いかと。

その点アップダウンが少なくミッキーマウスコースのミザーノは

これまでも相性の良さをみせてますから、ヤマハ勢の復活が見られるでしょう。

ファビオはそろそろ3勝目が欲しいところですが、

ビニャーレスがピョコっと勝つかも。

 

逆に心配というか、どうなの?というのがドゥカティのドヴィジオーゾ。

レッドブルリンクでは相変わらず強さを見せましたが、ヤマハの時と

逆の意味で、彼のセッティング、乗り方がたまたまコースにマッチしただけで

今季悩まされてきた問題が根本的に解決したのかどうか

このミザーノでハッキリすることになるでしょう。

何となくダメなような気はしてますが・・・。その場合、ポイントリーダーの

ファビオはグッと楽な状況になるでしょうねー。

むしろ、好調なプラマックの2人、特にペッコは初表彰台が期待されるところです。

 

そのドゥカティ同様、どうなの?というのはKTMも同様で

この曲がりくねったコースでもブルノやレッドブル同様な強さをみせることが

出来るのか。ペドロサの事前テストが出来るのもこのミザーノで終わりですから

ミザーノの次のルマン・ブガッティサーキットでの走りも要注目ですね。

そこそこ上位には来るけど、圧倒する速さは無いような気がしますね。

 

懐疑的なドゥカティKTMに比べてヤマハが恐るべきはスズキの2台かも

知れません。今季は絶好調でシーズンインしたのに自分らでペースを崩した面も

見受けられましたが、それも取り返して今は本来の速さを発揮。

ミザーノ、ルマンは得意な部類に入るコースだけにやってくれそうな予感がします。

あとはライダーのミスによる取りこぼしが怖いところ。

 

アプリリアは置いておいて、最後にホンダは中上君しか期待できそうも無いですね。

今のRC213Vをキチンと走らせられるライダーは今は彼しか居ませんから。

ただ、表彰台行けるかどうかはちょっと厳しいか。

ライバルが手ごわくなるわけに。

 

以上、蓋を開けてみて答え合わせは4日後です。

ギャンブルチョイス

WSBは2週連続アラゴンでの開催となりましたが

昨日の第1レースではプライベータドゥカティを駆る

マイケル・ルーベン・リナルディが初優勝を飾りました。

 

彼はドゥカティのJrチームに所属し、かつてはスーパーストック1000クラスで

チャンピオンにも輝いたことのある実績がありますから

決して遅いライダーではありませんが、スーパーバイクに昇格してから

まだ表彰台さえ獲得したことの無かったライダーですから

このポールトゥウィンはビックリでしたね。

 

彼の今回の快走は彼が決勝で選んだタイヤチョイスにあったようです。

今回、ピレリはこのラウンドにフロント3種類、リヤに4種類のタイヤを

持ち込んでいますが、リナルディ陣営はその中でもスーパーソフトと

言われるSCXをリヤに選んだで第1レースに臨んだとのこと。

 

SCXはスーパーソフトの呼称の通り、本来は予選などの一発アタック

あるいはスーパーポールレースのように周回数の少ない場合に

使うのが本来の目的で、レース距離では持たないというのが通説でした。

 

しかし、リナルディ陣営はこのタイヤをレース距離持たせるセッティング

ライディングを確立し、見事にこれを結果に結びつけたということですね。

ただし、これは非常にギャンブル要素の強いチョイスだったと言えると思います。

 

実際、ジョナサン・レイやスコット・レディングといったチャンピオンシップを

戦うライダーは実績のあるSC0をチョイスしており、SCXをチョイスしたのは

予選に失敗して追い上げをしないといけなかったチャズ・デイビス

先週SCXで3位になったアルバロ・バウティスタだけです。

そのデイビスは追い上げるはずが、逆にリヤタイヤと獲得することになって3位止まり。

バウティスタは転倒リタイアに終わっています。

リナルディの走らせる去年型ワークスマシンに対してデイビスの駆る

今年のワークスマシンはリヤの荷重を増やす方向でモディファイされてますから

リヤタイヤの消耗が激しかったのかも知れません。

 

恐らく、今日のスーパーポールレースではジョナサン・レイもこのタイヤを

チョイスしてくるはずですから、同じタイヤを履いた時にリナルディと

どういう戦いをするか、非常に興味深いところですね。