アメリカンスタイル
もはや最高峰クラスからアメリカンライダーが
消え失せて、アメリカンライディングスタイル
という言語そのものが、無くなっているも同然ですが
マルク・マルケスの速さ、強さの秘訣はまさに
ここにあると言っても過言では無いかと。
つまり、このスタイルをヨーロッパに持ち込んだ
ケニー・ロバーツの走っていた時代と
今のマルク・マルケスの走っている時代でも
速さの鍵となるポイントは変わっていないと。
を連想するかと思いますが、それはライディングを構成する
一部でしかなく、むしろ、ケニーの言うフロントタイヤの
使い方にキモがあるかな。
つまり、ケニーも言ってますけど、フロントタイヤのグリップに
依存する曲がり方は常にリスクを伴うし、安定感に欠ける。
だからフロントタイヤのグリップに頼って旋回する時間を短くする。
これはウェイン・レイニーも同じ発言をしています。
ケニーの時代はタイヤ性能も低かったですからね。
ケニーが育ったダートトラックはその文字のとおり下がダートで
おまけにフロントブレーキが付いてませんから、フロントタイヤの
グリップに頼って旋回することは出来ません。
むしろ、フロントタイヤの仕事はカウンターをあてて、
リヤのスライド量に対してマシンを正しい方向に向けていく仕事。
グリップに頼って旋回していくのとは、異なる手法です。
そしてグリップに依存しないがゆえに、オンロードでタイヤの
性能が低い時代でも安定して速さを発揮することが出来ました。
そしてこの乗り方、スタイルはまさにマルケスのそれに
符合してくると思いますね。
多くのライダーがグリップ力、旋回力に優れたブリヂストンから
頼りなくなったミシュランに対応できないのに対して
彼は適応してしまうのは、その乗り方がそもそもグリップに
依存していないから。
実際、彼がフロントにハードめのコンパウンドをチョイスするのは
フロントのグリップが欲しいというより、フロントのしっかり感
手応え、カウンターをあてに行った時に腰砕けにならないために
という目的に沿っているんでしょうね。
加えてフロントのグリップに依存してないからロレンツォのように
フロントタイヤのグリップを使い切ったらジ・エンドと
なることも少ない。また、今は電子制御によるライダーエイド機能が
低くなってますから、リヤタイヤが滑り出したら
その量にあわせてカウンターのアテ方を変えることでペースを維持する役割も
担っていると思います。
もちろん、全てのコースに当てはまるわけではなく、レイアウトや
持ち込まれるタイヤとのマッチングなどもありますが、
シーズン通して見れば、あの走り、スタイルがコンスタントさに
結びついていると思いますね。
つまり、マルケス最強。