メンタル

持って生まれた性格は簡単には変えられない。

確かにそう思います。

しかし、より高い目標を掲げた場合、時として

変えることはできなくても、ある程度の抑制は出来る。

今年のファビオのタイトル獲得を見てそう思いました。

 

昨年、ファビオは3勝をマークしていますが、

それ以外は表彰台獲得数がゼロなんですよね。

つまり、スタートから気持ちよく走れると逃げ切りだけど

逃げ切れないとズルズル後退して、終いには転倒してしまう。

コンスタントさに欠ける走りでした。

特に去年、今年のMOTOGPを見てもわかるように

機能する温度機が非常に狭いミシュランタイヤは一定のペースで

温度をキープしないと途端にグリップを失うような軟弱タイヤですから

トップからズルズル下がって、ラフなアクセル操作を繰り返すと

あっという間に発熱して、転倒に結びついてしまう。

それが顕著に表れたリザルトとも言えるかも知れません。

 

それでは世界王者ににはなれない。

この世界王者になるという目標を掲げた2021年型ファビオは

だから我慢を覚えましたよね。

 

今季の彼のレースぶりで特徴的なのは、ポールからスタートして

5番手くらいまで序盤に落ちても全然慌てないんですよね。

タイヤにじっくり熱を入れて、段々とペースを上げてくる。

レースが落ち着いて、タイヤが完璧になるまで待てるようになった。

だから、勝てるだけでなく、じつに5回の表彰台獲得。

タイヤを無理にオーバーヒートさせるような無理な走りが無くなりました。

行きたいという感情を抑制し、機を待つことが出来るようになりました。

 

精神的に大人になったのかなと思いきや、タイトル獲得後には

オンオンと泣いてましたから、やはりやや激情型の性格は変わってないようです。

ただ、レースの時だけそれを抑えることが出来る。

 

同じ意味で今年、いい意味で予想を裏切ったのがMOTO2のポイントリーダー

レミー・ガードナーです。

かつてのレミーといえば、長島さんが言っているようにチームメイトに

タイムで負けるとFのつく放送禁止用語を連発するような短気なライダーで

レースでも抜かれると、抜き返そうとしてラフに開けて失速して

更にポジションを落とすのが去年までの定番でした。

しかし、今年、アジョのエースに抜擢されると我慢の走りが出来るようになりました。

トップに立たなくても、ガソリンが軽くなるまで待って、

ペースをあげて追い上げてくるレースが出来るようになりました。

これもアジョのエースになったこと、MOTO2のタイトルを狙えるチームで

走っていることが大きいと思いますね。

相変わらず、好きではないライダーですが、来季のMOTOGPデビューが

楽しみになりましたね。