フレンチの美味しい頂き方
前回のアラゴンではタイヤトラブルから失速した
ファビオですが、今回のミザーノのレースは慎重すぎるくらい
慎重なレース運びをしていましたね。
リヤタイヤに固めのミディアムを選んだのもそのひとつで、
ドゥカティ勢のようなリヤソフトは選びませんでした。
リヤフェンダーに放熱用の穴が開けられているほど
リヤタイヤの温度が上がりやすいヤマハのマシンでは
リヤにソフトを履いてしまうと、レース終盤までタイヤが持たない
という判断なんだと思います。
そしてレースがスタートしてからの序盤のロウペース。
スタートしてからほぼトップペースに近いラップで
周回し始めたペッコとは対照的でした。
これは恐らく、固めのミディアムを履いたために
一気にペースを上げてしまうとタイヤの表面の
温度だけが上昇してしまい、グリップを失い劣化してしまうのを
避けるための措置だったと思います。
序盤はとにかくジワジワとペースを上げる、言ってみれば
とろ火で外から熱を芯に通るようにして、しっかり中まで火を通す。
美味しくフレンチタイヤをいただくためのレシピか。
去年の終盤戦、ファビオはポールを取り序盤は上位を走りながら
タイヤがあっという間にグリップを失い、後退あるいは転倒した
反省も大いに生きていると思います。
序盤から全力で走りすぎて、タイヤに綺麗に熱を通すことを
失敗してしまっている。言ってみれば強火で外側が焦げてるのに
中身が全然火が通っていない目玉焼きを作ってしまっていたか。
今季、この慎重な走りがずっと続くようならタイトルはかなりの確率で
彼の手に落ちるように思います。
反面、余りにセンシティブなタイヤはライダーの多くの作業が
速く走ることではなく、いかにタイヤの温度を上げずに
ペースをキープするかに注力されていて、抜きたくても
ペースが上げられない我慢大会の構図を呈しているようにも思いますね。