開催遥かなり

コロナウイルスの影響は沈静化するどころか

ますます拡大の一途で、レース業界も日程の

延期を余儀なくされている状況です。

 

当面はどこも5月再開を目処に調整してきたようですが

F1のモナコGPマン島TTといった伝統があるビッグイベントが予定されていた5月が中止されたところ見ると5月も厳しいものが

あるようです。

 

最新の情報に基づけば、4月19日決勝のWSBアッセンは

現在、サーキット・ファン・ド・レンテが閉鎖中で、

この閉鎖が解かれないと開催は出来ません。

現実的には、アッセン、続くイモラまで飛ばして、5月下旬の

スペイン アラゴンが第2戦になることが最新の目標地点になりつつあるようです。

 

同様にMOTOGPも5月頭のヘレスが第2戦に予定されていますが、

スペイン、フランスの状況を考えるとこちらもスキップ

ムジェロまで第2戦がずれ込むのが現実的なラインのようです。

 

レースファンは過去のレースを見ながら、ずっと嵐が過ぎ去ることを

願うしかない。

 

ところで、4月下旬の全日本は予定通りなのかい?

何もアナウンスは無いし、地方戦は普通に開催されちゃってますが・・・。

 

延期につぐ延期、それからお金の話

MOTOGPもWSBもEWCも延期あるいは

中止が続出で、もはや「今シーズン」は完全に

混沌と化してしまっていますね。

 

中上選手も開幕戦が5月のスペインGPと聞いて

2ヶ月もMOTOGPマシンに乗らないでレースする経験は無い

と述べていますから、レーサーとしての感覚をピンピンに

持っていくのに苦労しそうですね。

どのライダーもそうならないようモトクロスなどのトレーニングに

精を出すでしょうけど。

 

ところで、順延という形になったアメリカズGPとアルゼンチンGPですが

大きな影響を受けそうなのが、タイヤを供給するミシュランでしょう。

というのも各レース毎にそのサーキットの路面、気温に合わせた

コンパウンドを持ち込んでくるタイヤメーカーにとって、秋のオースチン

アルゼンチンはデータの無い時期で、おまけに季節まで異なると。

アルゼンチンなんかは南半球ですから冬から春に向かう頃ということで

タイヤチョイスが難しくなりそうですね。

それからライダーからすれば、とにかく怪我が出来ない。

これだけ日程が詰まると怪我しても回復する日程的な余地がなく

複数レース欠場するとタイトルを失うリスクが高まるというもの。

その辺のプッシュするか、それとも引いて堅実に行くかの判断も

難しくなりそう。

 

ところで、中止ではなく、何故順延か?というと端的に言えば一番

大きいのは放映権と開催権それぞれの収入ということになりますが、

DORNAはこの収入に応じて、各チームに補助金を交付しており、

この補助金無しでは多くのMOTO2,3チームは運営が出来ない状況でして

何としても開催したいというのはただの金儲けの話ではないわけです。

特にマシンが4ストロークになってから、各チームに対する金銭的負担は

増しているようですね。

そこに来て、タバコマネーが無くなって、それを補うビッグスポンサーが

居ませんから、各チーム何とかやりくりしているというのが現状。

 

今季はともかく来季にこのダメージはボディブローのように

効いてくるかも知れませんね。

 

コロナにつき・・・・

世界を覆うコロナウィルスの影響ですが

モータースポーツ業界も当然、大きな影響を受けています。

 

まず、MOTOGPは開幕戦のカタールMOTOGPクラスは

開催されず、第2戦に予定されていたタイGPは10月に延期。

更に第3戦に予定されていたアメリカズGPも11月、最終戦バレンシアGPの

直前へと延期されました。

 

よって、MOTOGPの開幕戦は今の所、南半球のアルゼンチンと

なっています。

が、同じFIM管轄のMXアルゼンチンラウンドが順延になることが

発表されましたから、アルゼンチンも影響を免れないかもしれません。

 

となると、とうとう開幕はスペイン ヘレスか?

とも思えますが、ヘレスそのものは問題ないんですが、スペインが

イタリアからの入国を禁ずると一部チームに大きな影響が出るため

開催は不可となるかも知れません。

そうなると、次のフランスGP ルマン・ブガッティサーキットまで行ってしまうか??

EWCのルマンが順延決定したばかりだけど・・・。

 

開幕戦オーストラリアは行われたWSBですが、第2戦のカタールは順延

そして、第3戦に予定されているスペイン ヘレスも順延と言われています。

理由は上記のMOTOGPヘレスと同様で、イタリアからの入国をスペインが

禁じているあるいは、イタリアからの出国を認めないと影響が大きいため。

特にWSBはピレリワンメイクタイヤですからね。

となると、第2戦はオランダ アッセンになる可能性がありますね。

 

世界耐久は第3戦のルマン24時間が9月に延期。

第3戦はドイツのオッシャースレーベン8耐、そして鈴鹿8耐、ルマン24時間

という順番となります。

 

と、今年はどこのカテゴリーも後半は怒涛の追い込み日程に

なりそうで、関係者、視聴者の疲労も半端ない、おかしな

シーズンになりそうです。

降って湧いた一ヶ月

本来であれば今週末に開幕戦を迎えるはずだった

MOTOGPの2020年シーズンは、MOTO2、3のみ開催

という異例の事態となりました。

これはご存知のとおり、コロナウィルスの世界的蔓延による

影響を避けるためで、そのため第2戦のタイGPも延期が発表されました。

 

現在の所、2020年シーズンの開幕戦は4月のCOTA

オースチンでのアメリカGPとなっています。

 

これには多くのライダー、チームの関係者が困惑するとともに

早期の正常化を願っていることと思われます。

しかし、MOTOGPの開発陣からすると、この一ヶ月の開幕延長は

降って沸いたような話でして、開幕するまでは当然エンジンの仕様凍結は

されないわけですので、開発を続行できるというわけですね。

 

特に最後のテストで不振に終わったホンダ陣営からすれば、

マルクの肩の回復と共に、マシンの改良を行う時間が出来たわけですから

問題点の洗い出し、改善を進めてくることでしょう。

 

どうやらホンダはカタールテストでのマルクの転倒はエアロパッケージの問題と

見ているようですが、果たしてどうでしょうか?

そもそも、見当違いなところを改良するようであれば、問題点を抱えたまま

シーズンインしてしまうことなります。

 

ただし、開幕戦となる予定のオースチンはマルクが大得意とするコースで

マシンの欠点が覆い隠されて見えなくなる可能性はありますね。

 

果たして・・・・。

回り道

今シーズンから18年ぶりにWSBにワークス復活した

ホンダ、HRCですが、その参戦の仕方がいかにもホンダらしいというか、

何と言いますか・・・。

 

多くのWSBのファクトリーチームは、既存のレーシングチームと

契約して結成される場合が多く、それは餅は餅屋でありレースはレース屋

に任せて、開発サポートはメーカーが行うというのが一番

成功への近道だからでしょう。

WSBという土曜日に決勝がひとつあって、日曜日に2レースある

という特殊なフォーマットは経験が無いと上手く運べないでしょう。

カワサキはスペインのプロヴェックと契約してますし、ヤマハはイギリスの

クレセント・レーシング、去年から復活したBMWはイギリスの

ショーン・ミュアー・レーシング、ドゥカティでさえ、純粋なワークスではなく

イタリアのレーシングチームと契約してワークスチームを運営しています。

だから、ホンダが選んだゼロからチームを立ち上げるというのは

成功するまでに一番回り道で、お金がかかって面倒くさい方法。

あえて、それを取るあたりがホンダらしいなとは思いますが。

 

ずっとホンダの顔として戦ってきたテンケイトと共闘するという手もあったと思うし

昨年先遣部隊として戦ったモリワキ・アルティア・レーシングと契約する

という手もあったと思うんですけどね。

 

あえて、あえて遠回り道を選択したホンダが成功にたどり着くのは

何年後になるんでしょうか。

 

それは数年先に答えが出ていることでしょう。

DORNAの狙い通り

WSBの経営権をフラミニグループから

貰い受けたDORNAMOTOGP同様

レギュレーションの締めつけを厳しくすることで

上位チームと下位チームの戦力差を拮抗し

接戦を作り出すことに注力をしてきました。

 

MOTOGPの場合は共通化ECUなんかがそれに当たりますが

WSBの場合は改造範囲の制限だったり、ECU及びハーネスを

プライベーターが購入出来る条件だったり、回転数制限だったりします。

今年の開幕戦はそれが実を結んだ形での接戦が展開され

誰が勝つのか最後までわからないレースとなりました。

 

ほんの数年前まではスタートすれば、ドゥカティカワサキ

時々ヤマハという展開ばかりだったことを考えれば雲泥の差。

とかく批判も多い回転数制限ですが、DORNAの狙い通りの

成果を生み出していると言っていいでしょう。

 

ただ今回のオーストラリアはタイヤに厳しいコースということで

各陣営タイヤセーブを考えてペースを抑えたが故の接戦

という側面もあっただけに、今後も同じような展開になると

決め付けるのは、まだ速いか。

スーパーポール男

トム・サイクスが2020年の開幕戦 オーストラリアの

フィリップアイランドの予選で自身50回目のPPを獲得しました。

これは歴代最多で、オーストラリアでは初となります。

 

彼の一発の速さはスーパーポール男の異名を取るほどですが

反面、一発の速さはいいけれど・・・という揶揄を多分に

含んでいるように思います。

 

実際、レース1では序盤こそトップ集団で快走したものの

折り返し地点を過ぎたあたりから、ガクンとペースが落ちて

ズルズルと後退していきました。

彼は非常にタイヤのグリップ性能を引き出すのが上手い反面

グリップを持たせる乗り方、セットアップが上手くなくって

タイヤが終わってしまうパターンが圧倒的に多いんですよね。

彼もわかっていて、それを改善しようと試みた時期もありましたが

それは失敗に終わったようです。

 

今はBMWの速さを引き出すことに焦点をあてて、とにかく速さを

追求しているようですが、結果に結びつけるにはやはり

タイヤの使い方が課題になってくることでしょう。

果たしてサイクスはその壁を乗り越えられるんでしょうか。