名機 RSV4

2015年シーズンをもってワークス活動を
終了することを発表しているアプリリアですが、
現在、RSV4の後継機を開発していないことを考えると
アプリリアが再びWSBのフィールドに帰ってくることは
当面、無いということがわかります。

その最終戦で見事にWウィンを飾ったことを考えても
アプリリア初のV4市販車は大成功を収めた非常に
優秀なマシンだったと言えると思います。

元々、この狭角85度のV4エンジンというレイアウトは
当時のアプリリアの2スト250レーサー RSW250の
フレームに搭載できるエンジンという逆算から導き出された
数値で、前後2気筒ずつ同爆というのは今ほど電子制御が
発達していなかった当時、トラクションを有効に稼ぐ手法として
採用されたものでしたね。
(ちなみにGPレーサーのRS-GPも2気筒同爆は引き継がれているようです)
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こうしてデビューした2009年はアプリリア三顧の礼をもって
迎入れたマックス・ビアッジとGPから転向の中野真矢選手という
ラインナップ。
ビアッジはその期待に答えて早くも2勝をマーク
翌年のチャンピオンシップを狙えることを証明します。
(余談ですが初めて市販車レーサーを走らせた中野選手は
マシンに自分を合わせるという乗り方に対応できなかったのが
引退決断の要因のようです)
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翌2010年、ドゥカティの不振もあって強力なライバル不在の
シーズンを序盤から終始リードし続けたビアッジは
早くもアプリリアにタイトルをもたらします。
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しかし、2011年は歯車の噛み合わないシーズンとなり
チェカにタイトルを奪われる羽目に。
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2012年、心機一転で臨んだシーズン、新たにレオン・キャミアに
替えてユージン・ラバティを僚友に迎えたシーズンは
カワサキのトム・サイクスとの僅差を争いとなりますが、
終戦わずか0.5ポイント差という史上最小ポイント差で
2度目のタイトルを獲得し、ビアッジはそのまま現役引退。
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2013年、アプリリアはシルヴァン・ギュントーリと
ラバティという新たなコンビでシーズンに臨みましたが
カワサキのサイクスにタイトルを奪われることに。
エンジンの基数制限が始まったのはこの年から。
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2014年、ラバティに替えて、マルコ・メランドリィを招聘した
アプリリアですが、シーズンは前年同様、サイクスとギュントーリの争い。
タイトルは最終戦までもつれ込みましたが、ギュントーリが
意地を見せてタイトルを獲得、アプリリアは3度目のタイトル。
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2015年、エヴォレギュレーションの採用を受けて
対応モデルRSV4 RFを投入。
規模縮小でレッドデビル・ローマにチーム運営を任せ
レオン・ハスラムとジョルディ・トーレスが合計3勝をマークし
まだまだ勝てることを証明しました。
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GPマシン並みのコンパクトな車体にV4の非常に強力かつ
2気筒同爆で扱いやすさも追求したRSV4は
非常にレーシングマシンとしての素性が良く
ブレーキングよりも旋回性とストレートスピードで勝負する
マシンでしたね。

ただ、市販車の売上は惨憺たるもので、アプリリアが後継機を
開発しなかったのはSS市場の縮小に加えて、WSBで活躍しても
売上には繋がらないという現実があったのも影響しているかも知れません。

しかし、7シーズンで3度のタイトル獲得、コンストラクターズも3度は
素晴らしい結果で、間違いなく歴史に残る名機ですね。