上がるハードル
日本の川崎明石本社の橋渡しをしている
依田さんによれば、既にスーパーバイク用の次期ベースマシンは
MOTOGPの技術を応用したマシンにするべしという
要望を投げているとのこと。
それは2019年にWSBにドゥカティがV4Rをデビューさせたことで
WSBのベースマシンの基準が明らかに引き上げられたからでしょう。
現在のWSBのベースマシンの多くは2015年に施行された
エヴォレギュレーションに対応したものが多く
逆に言えば、それ以降は大きな変更なくここまで来ているとも言える。
2015年に施行されたエヴォレギュレーションとは、
それまでレース専用品に交換可能だったエンジン内部の大物パーツ
クランクシャフトやピストン、コンロッドといった部品を
ノーマルパーツをそのまま使用しなさいというレギュレーションでした。
これはそれまで1200ccが認められていた2気筒マシンだけに適用されていた
レギュレーションを4気筒まで拡大して、統一した形でしたね。
これを受けて各メーカーはノーマル状態から高価なチタンコンロッドなどを
組み込んだベースマシンを続々デビュー、1000ccSSの標準価格を一気に
引き上げることとなりました。
ヤマハがオールブランニューのYZF-R1、ホンダがSC77、スズキも
オールブランニューのGSX-R1000Rを登場させた時期になりますね。
しかし、去年デビューしたドゥカティV4Rはそれらを根本から上回る
MOTOGP直系の技術を盛り込んだベースマシンでエンジンの最高回転数は
これまでよりも遥かに高く、そこから吐き出されるパワーも段違い
車体は最新のフレーム解析技術で開発され、電子制御は統一ソフトのMOTOGPを
上回る高次元のものが搭載され、カウルはMOTOGP直伝のエアロを
まとって登場しました。
もはや市販されたMOTOGPマシン。
そして、今年、レースデビューするホンダの新型CBR1000RR-Rもその路線を
追随してきました。
となると、スーパーバイクの王者として君臨するカワサキがライバルを
追随しない理由は無い。
特に去年のレースぶりからも、結果的にライダーのミスに助けられた部分が
あり、タイトルこそ防衛したものの、序盤16連勝されたことは圧倒的な
ハード差から来る戦績として、強く印象づけられているようです。
結果的に開発期間の短さから2020年のレースデビューは見送られたものの
間違いなく、2020年の秋にはMOTOGP直系のスーパーウェポンが
カワサキから送り出されることでしょう。
ただこうしたスーパーウェポンになるほど、市販価格は上昇していくわけで
DORNAの定める40000ユーロという上限価格内に収まるものの
もはや一般公道で走るには高すぎるポテンシャルと、高価すぎるバイク
となっているように思いますね。
免許取り立ての初心者が、いきなりポルシェ911GT3を運転するようなもの。
それってどうなんだろう?という疑念が浮かぶのも当然ではないかな。
電子制御で押さえ込んでいるとはいえ、220馬力ですよ。
一般公道で何か予想外の出来事があった時の暴走する力の大きさが
尋常では無いです。