翻ったベクトル  2019年を振り返る WSB編 その1

2019年のWSBシーズンほど奇妙な?不思議な

展開になったシーズンは過去にも無いでしょう。

それほど、極端な展開だった前半戦。

 

何しろドゥカティのリーサルウェポン V4R+

GPライダー バウティスタの組み合わせは

開幕戦のフィリップアイランドから第4戦のアッセンまで

実に12連勝を飾りましたからね。

 

ところが第5戦のイモラでつまづくとそこからズルズルと

レイに主導権を握られて、結果的にその主導権を取り返すことは

ありませんでした。

 

この序盤の4戦、フィリップアイランド、ブリーラムアラゴン

アッセンに共通しているのはMOTOGP開催コースでライダーが

慣れている、コースを熟知しているという面もありますが

(第5戦のイモラはGP未開催)

加えて、この4つのコースは今シーズン、MOTOGPヤマハが快走した

コースでもあり、レイアウト的に高速コーナーが多く

V4Rの特性が活きるコースであったとも言えるかもしれません。

 

あくまでも私見ですが、V4Rは高速コーナーやパワーサーキットは

得意だけど、いわゆるストップ&ゴー、ブレーキングのスタビリティが

重視されるコースは余り得意ではない印象。

実際、レイ+ZX-10RRがピタリ止まるコースでも、V4Rは

まっすぐ止まるというよりカウンターがあたり気味で流れながらの

危ういバランスのブレーキングなんですよね。

転倒が序盤に集中しているのはタンクが満タンでフロントタイヤに

かかる荷重が大きくこの危ういバランスが崩れやすいからでしょう。

今季、チャズ・デイビスが苦戦したのもこのポイントで、

V4Rはブレーキングでピタッと止まるタイプのマシンでは無いみたい。

ある程度止めるより速度を乗せてコーナーを曲がってそのまま

アクセルを開けていく方が良いし、そういうコースの方が速い。

 

もちろん、ライバルのレイの進歩ありますが、V4Rはパワーは

あるけど、ハンドリングに特徴があるだけに、タイトルを取るのであれば

このコースによる得手不得手を克服する必要があるように思う。

レディングにそのスキルはあるか??