ヨシムラの兵法

2021年のEWCシリーズが終了しました。

終わってみれば今年から参戦したヨシムラ・SERT・モチュール

全戦完走、ルマンとボルドールの両24時間を制する形での

圧勝でシリーズも制しました。

 

それにしても、今年のEWCでのヨシムラ・SERTの戦い方は

守りより攻め、それはかつての第一回鈴鹿8耐で不沈艦RCBに

挑んだヨシムラのそれを彷彿させるものがありましたね。

 

当時、既にヨーロッパの耐久レースでは無敵の強さを誇り

不沈艦の異名を取ったホンダRCB軍団が耐久性、頑強さを

前面に打ち出したマシンだったのに対して

ヨシムラが持ち込んだ車両はAMA選手権で使うスプリント仕様の

車両に耐久装備をつけただけのマシンでした。

言ってみれば絶対的な速さでRCBを倒そうとしたわけですが、

果たしてこれはあたり、第一回優勝車の栄誉を手にしたわけです。

 

今シーズンのEWCフル参戦にあたりヨシムラが用意したマシンも

この時の発想と同様、耐久性を重視してエンジンパワーを落とすのではなく

むしろ、EWC仕様のフルスペックのパワー重視のエンジンに

スプリント仕様の軽量カウル、それに耐久装備をつけた鈴鹿8耐仕様に近い

スプリント耐久仕様のマシンでルマンやボルドールといった

24時間レースに挑みました。

 

このヨシムラの兵法が結果的にライバルメーカーにも

ハイペースのレースを強いることになり、それがマシントラブルや

ライダーの転倒という形でライバルの脱落に繋がりましたね。

 

終わってみればライバルにスプリントサバイバルを仕掛けて

勝ったのはヨシムラ、かつての第一回の兵法そのままで

勝つあたりに、そのスピリットは受け継がれているなと感じで

嬉しくも胸熱くなるものがありましたね。