タイヤのもたらす混戦

セパン、マンダリカのテストを終えて、いよいよMOTOGP

開幕戦を迎えます。

 

この5日間のテストを見る限り、これまで以上に混戦の度合いが

強まっているように感じます。

その原因のひとつはミシュランワンメイクタイヤが今年から

少し方針を変えてきたことが影響しているように思います。

というのも、ミシュランによれば今年は45種類近くあったタイヤの種類を

30種類まで減らす方針とのこと。

 

これが何を意味しているかというと、これまでは週末に供給されるタイヤは

ハード、ミディアム、ソフトという3種類のコンパウンドでした。

ただ、例えば、ソフトと一口に言っても、カタールで使うソフトと

へレスで使うソフトともてぎで使うソフトは違うソフトタイヤなんですよね。

カタールは滑りやすい路面でナイトレースだから路面温度は低いのでグリップ重視の

ソフトタイヤ。

へレスはコーナーリング区間が多く、路面温度もそこそこ高く周回数が多いので

グリップと耐久性を両立したソフトタイヤ。

もてぎは秋開催なので、路面温度はそれほど高くならず、ただし非常にストップ&ゴーの

レイアウトのため、グリップよりタイヤのしっかり感が必要なソフトタイヤ。

と、ソフトタイヤでも開催されるコースの特性、開催時期の温度などを考えて

最適なタイヤを持ってくるため、実質サーキットごとにソフトも種類があるような

ものなんですよね。

まあ、実際は特性が近いコースでは同じソフトタイヤを持ってきたりするようですが。

 

だからタイヤの種類が非常に多かったのがこれまでの状況。

 

それを減らします。という話なんですよね。

 

そうするとどうなるか?

要はこれまでは例えば、A、B、Cの3種類のコースで使っていたタイヤを

A、B、Cに加えてDとEのコースでも同じタイヤを持ってきます。ということ。

タイヤ自体の守備範囲が広くなることが求められるようになります。

タイヤの守備範囲とは?

これはミシュラン自身が説明していますが、要は適用温度域が狭いタイヤを

ラインナップから落として、より幅広い温度域に対応したタイヤを使います

ということになる模様。

 

去年までのMOTOGPを見ていればわかりますが、ミシュランのタイヤは

作動するタイヤの温度域が非常に狭い上に、そこを外した時に性能の

落ち加減が大きくって、それが外から見ていると、タイヤのアタリ、ハズレ

という形で出ていたと思います。

あれは要はタイヤがピンポイントすぎて、大半のチーム、ライダーはちゃんと

作動させられない状態だったと思います。

 

しかし、今年はタイヤの種類が減る、つまり作動域の広いタイヤを使います

という話ですから、去年ほど、タイヤの温度域を外すチーム、ライダーは減るんじゃないかな?

と推測されます。

そうなると、去年以上に多くのライダーがきちんとタイヤの性能を発揮して

走ることが出来る、だから混戦になる。

それがセパン、インドネシアでのテスト結果にも表れている。

そう思いましたね。

 

ちなみに2023年に新しいリヤタイヤと2024年に新しいフロントタイヤを

投入すると明言してますから、2020年に新しいリヤタイヤが投入された時の

ようなパワーバランスの地殻変動が再び起きる可能性大です。