2016年を振り返る MOTO2中上編
今シーズン、待望の初優勝を遂げた
中上選手。
その道のりは想像以上に厳しかったと思います。
彼にとって厳しかったのは、やはりチーム移籍の
タイミングで、ダンロップの生産拠点がフランスに
移ったことでしょうか?
長く走り込んでもタレが小さい反面、おいしいグリップが
出てくるまで時間がかかるという仕様でした。
元々、日本のグリップの高い路面で育った中上選手にとって
グリップ感の薄いタイヤでレースをするのは、
自信を持ったコーナーリングが出来ないという事を意味し
イタルトランス時代の速さを失ってしまいました。
それはこの年のチャンピオンであるラバットが走り込み
タイプのライダーであったことからも分かると思います。
チーム・アジアでの3年間はこのタイヤのグリップを
引き出すセッティングを出すことに費やしたように思います。
グリップを出し、かつレースでもライフが持つセッティング。
中上選手にとって幸いだったのは、フランス製になってから
3年間でタイヤの性能がグリップ重視へと変わってきたこと。
それは去年の終盤から速さが蘇ってきたことでもわかると思います。
そして迎えた今季、チーフ・メカニックがサス屋出身になったことで
フロントタイヤのグリップが引き出され
自信を持って攻められるセッティングが構築され、本来の
速さを取り戻し、もはや勝利は時間の問題でした。
また、初優勝を遂げたことにより中上選手の心理にも変化が
訪れ、セッションを進みながら何が勝つために足りてないのか
冷静に分析しながら進めることが出来るようになったと言ってますね。
それまでは勝ったことが無かったわけですから、当然と言えば当然ですけど。
今季、長島選手がスポット参戦した時にCEV勢が下位に沈んだことでも
わかるようにMOTO2は非常に高いレベルで拮抗している状態で
そこから一歩抜きん出るのは本当に高いスキルと集中力が必要です。
それだけにここでタイトル争いを出来るようになればMOTOGPでも
通用するライダーになれる、そう思いますね。
来季は是非とも狙ってほしい、そして最高峰に行って欲しいですね。