それぞれの戦略
結果的に非常にクロスした戦いとなった
オーストリアGPの決勝レース。
上位3人は3者3様の戦いを繰り広げました。
3人にとって難しい選択となったのは
決勝レース当日がこれまで以上に路面温度が上がり
タイヤに非常に厳しいコンディションへと変化していたこと。
これにより、リヤタイヤの選択に迷うことになります。
結果的にマルケスが一番固いハード、ドヴィジオーゾは
予選でも使っていたミディアム、ロレンツォはソフトと
選択が完全に別れる形となりました。
そのため、決勝レースもそれぞれが選んだタイヤに
則した戦略で戦うことになっていきます。
ハードを選択したマルケスはタイヤの消耗に関しては
問題がない反面、絶対的なタイムに伸び代が無いため
序盤からハードに攻めてファステストを連発し
リードを広げて逃げ切るという戦略。
一方、ミディアムとソフトを選んだロレンツォとドヴィは
序盤はタイヤの消耗を極力抑えて、とにかく
離されない程度のペースでじっくり待機、タンクが
軽くなるのをひたすら待ちます。
結果的にマルケスの逃げ切り作戦は失敗、タイムが
頭打ちになったマルケスの背後にタンクが軽くなって
ペースが上がってきたドゥカティの2台が迫ります。
ただこの段階でもタイヤ温存策で走るロレンツォに
対してペースの速いドヴィは前に出たいけど
出られない状態で、これが終盤に響いてきます。
ハードでの逃げ切りが決まらずホルヘの
ソフト温存策が決まった時点で勝負アリなんですが
そこであっさりと陥落しないのがマルケスの
マルケスたる所ですね。
ここからは両者のテクニックと戦略を駆使しての
戦いとなります。
ブレーキングで前との差を詰める乗り方に対して
ロレンツォは後半の下り区間で非常に伸びを見せ
最終コーナーでイン側に入られる距離までは
近づけさせません。
つまり3コーナーのブレーキングさえ封じれば
その先はロレンツォ有利。
果たして最終ラップでの両者の争いはその図式の通りになりましたね。
3コーナーのアプローチで車体をイン側に振って
牽制するロレンツォに対し
当然、そのさらにイン側からアプローチするマルケス。
ただしラインが窮屈な分、アクセルを開けるポイントが
遅くなる苦しいライン、対してロレンツォはアウト側からの
加速ラインで頭を抑えると、そのまま下り区間に入ります。
これで勝負あった。
マルケスがハードで逃げきれなかった時点で
ホルヘがソフトを温存しきった時点で
ある程度は予想されていたものの、最後は互いのテクニック
戦略が勝負を分けた、そういう形でしょうか。
ドヴィはホルヘに詰まっている間にタイヤを
使い切ってしまったのが最大の誤算だったでしょう。
あそこで前に出ていればあるいは・・・いや言うまい。