16.5インチと17インチ

来年からミシュランは17インチを投入、
JSBも2017年から17インチ化が決まってますが
じゃあ、16.5インチと17インチの違いは?ってことで
ちょっと昔話に触れてみましょうか。

そもそもミシュランが16.5インチのフロントに着手したのは
ケヴィン・シュワンツのブレーキングスタイルに対応するため
なんですよね。
それだけフロントの安定感が抜群なんですよね。
実際、彼は93年にこのタイヤに適応したセッティングを
完璧に施したことで、タイトルを獲得するわけですが・・・。

面白いのはこのタイヤが投入された92,93前後はライダーに
よってタイヤチョイスが分かれていた時期でもあるということ。
マールボロ・ロバーツ・ヤマハウェイン・レイニーは17インチ、
ジョン・コシンスキーは16.5インチをチョイス
ロスマンズ・ホンダのミック・ドゥーハンは17インチ
ロスマンズ・カネモト・ホンダのワイン・ガードナーは16.5インチをチョイス。

これは正面から見た時に17インチが二等辺三角形
16.5インチが正三角形に近い、つまり17インチの方がトンガった
形状になるため。
レイニーとドゥーハンはフロントのスタビリティよりも
寝し込みの切れ味を重視しているってことなんですよね。
とにかく鋭いバンキングでフルバンクに持ち込んで旋回、
マシンを起こしてスライドコントロールで立ち上がる
立ち上がり重視のスタイル。
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対してガードナーやコシンスキーは16.5インチをチョイスして
フロントの安定感を重視、コーナーにガンガン突っ込むスタイルですね。
ただ、ガードナーはガンガン突っ込んでしっかりスピードを落として
クルッと回ってドカーーンとアクセルを大きく開けるタイプ
コシンスキーはビアッジやロレンツォみたいに250的な
コーナーリングスピードをなるたけ落とさずに走りたいスタイルと
まるでスタイルは異なりますけどね。
余談だけど、ガードナーのフレームはミックよりも
エンジンの搭載位置が下げられていて、それだけ車体が
安定性重視に振られていたってのは有名な話。
コシンスキーもチェーンアジャスターをめいっぱい後ろに
引いてホイルベースをなるたけ長くして安定性を出していたって話。
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こうやって書いてみると、17インチってのがいかに
ブレーキングでタイムを詰めるのに向いていないかってのが
わかると思うけど、一足早く17インチ化しているWSBでは
それほど、影響が感じられないから、タイヤのサイズだけでなく
メーカーの持っている特性ってのが大きく関与しているんでしょうね。