私的レプソル・ホンダ③

さて、1997年。
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前年のクリビエの猛迫ぶりから
この年もドゥーハン、クリビエの
激突となるかと思われましたが
終わってみれば15戦12勝2位2回、リタイア1回という
圧倒的な勝率でミック・ドゥーハンが4連覇を
達成しました。
 
その背景にはミックが彼だけのチョイスとして
パワフルだけど扱いにくいと言われたスクリーマーエンジンを
選んだこと。
当時は全メーカービッグバンエンジンでしたからね。
 
ホンダのビッグバンエンジンは4気筒を極めて近い感覚で
爆発させる言ってみれば、500ccの単気筒みたいな
エンジンで、これだとトラクションに優れる反面
ライダーのスロットルコントロールにやや鈍くなるデメリットがあって
その点、スクリーマーは2気筒同爆エンジンのため、
鋭く吹け上がるだけでなく、ライダーのスロットルに
忠実なんですね。
ミックはその点を使って、余計なスライドを素早く収束させることで
ソフトタイヤを持たせる走りを展開、圧倒的な強さを
みせることとなりました。
 
この年のイモラでミックとやりあった青木ノブ選手も
「俺より柔らかいタイヤをチョイスしているのに
俺よりもたせるなんて」
と語っていました。
 
このシーズン、印象に残っているのはこれまた
終戦のオーストラリア。
独走体制だったミックが単独転倒リタイア。
 
替わってトップに立ったクリビエを猛然と
追ったのがNSR500Vを駆る青木琢磨選手でした。
結果的に届かず2位でしたが、一番NSR500Vが
勝利に近づいたレースだったかも。
結果的にこのレースが琢磨選手の最後の勇姿になるとは
露知らず・・・。
 
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