抜けないMOTOGP
カタルニアでは1コーナーのブレーキングでフロントを
ロックさせ転倒、バグナイアとリンスを巻き込んでしまい
一躍、時の人になってしまった中上君でしたが、
その後のインタビューで当時の状況がわかってきました。
彼曰く、1コーナーに飛び込むまではブレーキングは完全にコントロール下に
あったそうです。
しかし、ブレーキングしながら前車(この場合はバグナイア)に接近すると
一種のスリップストリームに入ったような状況で、止まり切ることが出来なくなり
ブレーキをロックさせてしまった。ということのようですね。
スタート直後とはいえ、今のMOTOGPマシンの動力性能だとカタルニアのストレートなら
1コーナー到達時点で200㎞/h近く出ていたと思いますが、それ以上に深刻なのは
車体の後方に真空地帯が出来ていることですね。
その分、空気密度が下がりますから、ライダーが思った以上に車体が止まってくれない。
だから、追突を回避するためにブレーキをより強く握ったらロックしてしまった
というところでしょうか?
今のMOTOGPマシンは全てウィングレットと呼ばれる空力付加物が装着されていますが
これがあるために、車体後方の真空エリアが大きくなっていて、それがためにブレーキングで接近するのが困難になっている状況のようです。
また、これの弊害として、クオルタラーロが言ってますが、フロントタイヤに空気が
当たらなくなるため、フロントの温度が上がってタイヤプレッシャーが高まり、ブレーキングで
攻め込めないそうですね。
彼の勝ちパターンが独走が多いのは自分のラインが取れないというだけじゃなく、
他車の後方に入ってしまうと、得意のブレーキングが封じられてしまうという背景もあるようです。
ここ最近のMOTOGPはラップタイムが接近し、マシン性能が拮抗しているため、追い抜き自体が減っていますが、今の空力付加物が多く付いたMOTOGPマシンは更にこの追い抜きの減少に拍車をかける形になっているように思います。
WSBのようなクロスラインでも抜き差しのやり取りはまず、見られないですよね。
段々と高速ツーリングと化してきつつある今のMOTOGP。
見直すにはレギュレーションの改定が必要だと思いますが、今のところDORNAはその考えはないようで、今のメーカーとの契約が切れる2026年までは大きな変更を加えることは考えていないと、先日発表したばかりですね。
抜けないMOTOGPはまだしばらく続くことになりそうです。