私的GPライダー 考察学 その2
今シーズンのドゥカティで最大の注目株はヨハン・ザルコと
見ています。
というのも、ドゥカティのマシン開発はストレートスピードと
ブレーキングスタビリティという元々の強みをより強くする方向の
マシン作りで、それはドヴィのライディングスタイルともマッチしていた。
しかし、ロレンツォ加入以降のドゥカティ、ジジ・ダリーニャさんは
その方針を転換しつつあって、それがロレンツォ離脱後のザルコ獲得に
繋がった。
つまり、ジジさん的にはドゥカティの苦手とするゾーンである旋回力の
改善のために、ザルコが欲しかったということだと思う。
ザルコの乗り方はロレンツォ同様、ヤマハのM1流が非常に濃く
フロントタイヤの旋回性に頼って、コーナーリングスピードを高いまま
コーナーに飛び込んでいくスタイル。
これは直4マシンが得意とするハンドリング特性で、ドゥカティや
ホンダのようなV4マシンは得意なエリアではない。
V4マシンはむしろ、フロントタイヤで旋回する時間を短く
言ってみればV字型に素早く向きを変えて脱出する乗り方の方が合っている。
実際、ザルコの転倒回数がMOTOGPで一番多いというのはその
フロントタイヤを攻め立てる乗り方とマシンのミスマッチングから
来る部分もあったと思われる。
が、それだけにジジさんはまだデスモセディッチに改良の余地を感じているように思いますね。そしてその開発にザルコは欠かせない。
そしてザルコの乗り方は多くのMOTO2ライダーのスタイルにはマッチするんじゃないかな。
今年彼のチームメイトになるホルヘ・マルティンもかなりフロントに頼った
ライディングスタイルでバンク角も深い。
エスポンスラーマに加入したエネアとマリーニもザルコのデータを参考にすると
語っている。
ザルコの場合、体重が軽く小さく、オフセット量が少ないだけにフロントタイヤの
荷重コントロールが上手いうえに、フロントタイヤの磨耗が少ない。
だからこそ、ああいう乗り方が出来るんでしょうけど、今年は最新マシンを
手に入れて、彼の好みのマシンに近づくことが出来れば、念願の優勝もあり得ると思います。
そして、ザルコが乗りやすいマシンは他のドゥカティにも強力な武器になるんじゃないかな?