その判断

スティリアGPでヤマハのマーヴェリック・ビニャーレスが

ブレーキトラブルを抱えながらも走り続けたことで

結果的にブレーキが破損、クラッシュ、赤旗中断となったことに

ついて、異変を感じた時点で、ピットインしてリタイアするべきだった

というアレックス・リンスの発言を初め、非難の声が上がっているようですね。

 

ただ、ブレーキに関してはビニャーレスに限らずヤマハの4名は

いずれも苦労していて、それに対してブレンボが対策品があることを

連絡していることも明らかになっています。

 

結果的にビニャーレスがこの対策品を使わなかったことで

彼のブレーキがオーバーヒートしてパッドが脱落、ブレーキが

全く効かなくなり、マシンから飛び降りることになるわけですが、

この事も彼への批判に拍車をかけているようですね。

 

ただ、ビニャーレスサイドからすれば、ブレーキに問題はあることは

ずっと分かっていたわけで、当然、フリー走行の段階から

ブレーキの温度のチェックはシビアに行っていたであろうことは

予想の範囲内(そうでなくともブレーキの温度管理はシビアにやっている)

で、その上でイケルと判断して従来型のキャリパーを採択したんだと思います。

当然、キャリパーを変えると握りしろやブレーキの効き方が変わりますから

それまでのセッションで使ってきた従来型とはライディングやセッティングを

変えないとならなくなる可能性もありますしね。

 

だから、何も考えてないわけではなくって、彼らは彼らなりに従来型を使い続けるのと対策品に交換することを天秤にかけて、従来型で勝算アリと見て

彼を送り出しているであろうことは予想できる話です。

 

結果的にその判断は間違いだったわけですが、これは完全に結果論。

実際、混戦から離れてブレーキダクトに風を送るようにしたら

握りが復活したとビニャーレスも発言してますからね。

彼は前の週のレースでも一時期ダメになったクラッチが走っている間に

復活して走れるようになった経験もしてますしね。

 

それからリンスが言った異変を感じた時点でピットインリタイアするべき

という意見ですが、この時点で彼はトップのファビオ・クオルタラーロから

わずか18ポイントのランキング3位で、そのファビオは後ろに居て

ポイントを詰めるチャンス。

世界チャンピオンを目指す彼らにとってチャンピオンシップポイント獲得は

非常に重要なのは、言うまでもない話で、今年はマルク不在で絶好の好機。

この状態で、みすみすピットに入って自らノーポイントを選ぶという

選択肢はヤマハのエースとしても有り得ないというのが私の考え。

1ポイントを獲得する可能性が1%でもあるならば走り続けるのがレーサーとしての

性というものでしょう。

 

ですから、私はあの状態でビニャーレスがピットインリタイアを

選ばなかったのはむしろ、当然。

と考えているんですよね。

 

もちろん、他のライダーを危険にさらす可能性があったのは否定できませんが。