3年目のオレンジ   2019年を振り返る MOTOGP編

ホンダがダカールラリーで優勝を飾りました。

2013年にHRCとして復帰してから実に8年の歳月が

経過しました。

恐らくホンダとしても、ライバルをKTMとして目標に

定めてプランを練ってきたと思いますが

ここまでかかるとは思っていなかったでしょう。

そのぐらい、新規参戦カテゴリーで優勝するということは

時間と苦労と忍耐が伴うということでしょう。

 

そう考えると、MOTOGPの経験が全くないKTM

この3年間で積み上げてきた実績、ライバルとの差の詰め方は

驚異的ですらあると思います。

 

今シーズンのKTMは参戦開始以来のスミスとポルというコンビから

ザルコとポルという新体制になったものの、ザルコはまあ・・・。

たぶん、V4と鋼管フレームという変更が彼を混乱に陥れたんだと思う。

直4とV4の乗り方はかなり違うし、そこに未知数のフレームでしたからね。

ザルコの早期離脱はむしろ、良かったとは思う。

そのまま走り続けていたら、ザルコの人間的なセンサーが狂ってしまう

可能性は十分になったと思う。ドゥカティで走ったロッシのように。

そうなると感覚のリハビリが必要な状況になってしまっていた

可能性もありました。

 

それはさておき、3年目のKTMは相変わらず様々な分野でブラッシュアップが

認められ、エンジンパワーは更に強力に、サスペンションメーカーの

WPも日本のメーカーから人材が引き抜かれたりしましたし、

電子制御の分野もマニエッティのエンジニアを引き抜いたりして

性能の向上が図られました。

そうやってマシンとしてまとまってくると

改めて浮き彫りになったのが、鋼管スペースフレームの弱点ですかね。

つまり、相変わらず止まらないし、曲がらない。

これもエンジンパワーがライバルに追いついてきて、電子制御のセッティングも

ちゃんと出来るようになってきたからこそ、浮き彫りになったんだと思います。

 

MOTO3と2では一定の成果を出している鋼管フレームですが

ある領域まではこのしなりは有効みたいではあるんですよね。

でもその領域を超えてしまうと、もうしなりが効かないというか変形しなくって

ただの固い物体になってしまう。

これが負荷がもっと高い領域でも変形し続けるアルミフレームとの違いでしょうか?

MOTO2、3はまだ鋼管フレームが対応できる速度、重量、負荷の範囲内なんでしょうね。

 

結局、その問題点が浮き彫りになったからこそ、テストでペドロサが走らせた

楕円のフレームの登場に繋がるんでしょう。

その結論にたどり着いただけでも3年目のワークス活動は大いに意義があったと思います。

そして、2020年は非常に期待ができるシーズンになりそうな予感。

既にパワー面ではライバルに匹敵しつつあるわけですから。

 

ホップステップステップ、ジャンプ。

4年目の飛躍の年のために、ジャンピングボードの期間が2019年だったか。