一段一段確実に   2019年を振り返る MOTOGP編

昨年はアレックス・リンスの手によって

2勝もあげることが出来たスズキ・エクスター。

 

昨シーズンは80点の出来と語るように手応えを

感じることが出来たシーズンでは無かったでしょうか?

 

スズキのMOTOGP活動を見ていて感じるのは、他メーカーに比べてリソースが少ないためか、

マシンの開発が実に堅実で、あれやこれやを一度に更新せず

各分野に絞って、一段一段確実に高みに向かって歩いていくことで

結果に結びつけてきたという印象が強いですね。

もちろん、その味見をして正しい判断を下している

シルヴァン・ギュントーリの存在なしでは語れません。

 

2019年のGSX-RRの戦いぶりを見ていると、元々の

ブレーキングスタビリティの高さに加えて、

タイヤに非常に優しく、レースに行った時のペースが非常に

安定していて、決勝では確実に追い上げてくるレースが多かったですね。

シルバーストーンの逆転劇なんかは、このマシンの良さが非常に

よく出たレースと言って良いでしょう。

 

ただし、反面、予選順位があまり良くなくて、レースだとどうしても

追い上げのレースが多くなるし、トップスピードが足りないため

コースによっては追い上げて来れないケースも散見されました。

この辺が難しいというか、ギブアンドテイクというか、

タイヤに優しい分、短期間でタイヤのグリップを引き出さないとならない

予選ではタイヤへの攻撃性というか、タイヤ性能を引き出しきれない

印象もありましたね。

 

ですから、2020年のプロトタイプはまず、エンジンパワーを

上げてきているようですね。

これで一発の速さ、追い抜きのしやすさを改善しつつ、

この上がったエンジンパワーに見合ったシャシーを投入することで

本来のタイヤへの優しさを維持する。

セパンテストではこのニューシャシーをテストするそうです。

こういう着実なステップアップがライバルをキャッチアップするのに

必要なところです。

ただMOTOGPの場合、ライバルも一歩一歩着実に進化するだけに

そのライバルとの距離感が縮まったり広がったりで追いつくのが

難しいところですね。

かといって一跳足に追いつこうとしてもリスクが高すぎますし。

 

あくまでも一度に複数の要素を上げていくのではなく

一歩一歩確実に上げていく。それがスズキの流儀。